(j-yama)山崎さん、お便りどうもありがとう

(j-yama)山崎さん、お便り、どうもありがとう。こういうお便りをもらうと、とっても心強く思います。そうですか、「プログレの部屋」の薦めからPFMを聴き、とても気に入ってくれたようで嬉しく思います。これまで、特に社内では割と強引に(優位な地位を利用して)社員(や社外の来客にまで)にPFMを聴かせてきたのですが、購入に至らなかったリスナーはいても、嫌いだという(勇気のある)リスナーは一人もいなかったです。特に70年代のブリティッシュロック等を違和感なく聴けるリスナーの場合なら、ほとんどの人がPFMを肯定しているので、ボクも安心してお薦めできるワケですが・・・。ちなみに、我が社の取締役メインプログラマーの田口(webmasterともいう)には耳にタコができるほど「PFMの良さを吹聴」(ついでに、彼を家まで車で送る時はしつこく流し続けた)し、結果PFMのアルバムを全てラインアップさせた実績まであるのでご安心を・・・。

PS:PFMの「幻の映像」の作られた経緯から「作り物の完璧さ」的なものを感じられたとのことで、そういった印象を持たれる方もいるようですね。ボクの場合は情報の少ない当時だったこともあって「それらの情報を知ったのは90年代になってからだった」ので(もちろん、同アルバムがイタリアの1st2ndからの編集盤・・・とはいっても「セレブレーション」だけが1stより組み込まれているの過ぎないのです・・・だということも知らず、イタリアの1st2ndを取り寄せて聴いて、当時相当のショックを受けました)、どれも良くできているけど完成度は全アルバムで1番が「幻の映像」で2番がイタリア盤ファーストという順番です。(1stは当時3800円で購入し、聴きまくった思いでのアルバムでもあるため・・・というのもあるでしょう。今はキング盤で聴けるんだから、みんな、幸せだよなあ。)

山崎さんは元々「暗黒期(5thの「太陽と戦慄」6th「暗黒の世界」7th「レッド」)」のキングクリムゾンがお好きだそうですね。いやあ、あの時期のクリムゾンが好きというリスナーはホントに多いです。海外の「クリムゾンフォロワー」と呼ばれるプログレバンド(グランジ系やメタル系にもいたりして・・・)はほとんど「暗黒(後期とかとも呼ばれる)クリムゾン・フォロワー」で、前期や中期のフォロワー・バンドは皆無と言って良いでしょう。

イタリアに興味を持たれたようなので、ちょっとアドバイスをしましょう。アレア、バンコは確かに良いバンドです。しかし、アレア、バンコはPFM次に聴くバンドかというと・・・。確かにバンコの1st(変形のツボ・ジャケで有名)2nd「ダーウィン」3rd「明日への扉」は名盤中の名盤で、さらに現在ではマンティコア復刻紙ジャケ・シリーズで「バンコ」という初期3枚からの編集盤まで出ていますから、どれから聴いてもらっても失望されることはないと思います。しかしアレアは結構アバンギャルドなので・・・。ボクは1番ジャズロック寄りの1stから聴き始め、徐々に慣らしていったので大丈夫でしたが、間違っても2ndや4thから聴き始めない方が良い思います。
他にボクのお薦めするイタリアバンド(これもジャンル別とかで紹介したいと思います)ですが、キングのユーロロック・シリーズ系のタイトルはプログレ好きであれば納得出来るものが多く、中でもボクの大のお気に入りがオザンナです。
キングのユーロロック・ハンドブックでは、陽のPFMと陰のオザンナと記されて紹介されていて、ボクも全くその通りだと思います。「パレポリ」というタイトルはボクがオザンナに最初に接したアルバムで、初めて聴いたときは正直言ってその真価がわかりませんでした。しかし聴くほどに「狂気と熱情と混沌」が交錯したうねるようなサウンドが、リスナーを異世界へと連れ去るかのようです。サックスとベースとギターがせめぎ合い、大きな渦となってリスナーを「邪教の古都(パレポリとは、その昔あったとされる邪教との都市の名前だとか・・・)」に・・・混迷の淵へと誘うのです。ボクはこのオリジナリティあふれるオザンナ会心のアルバムの中に、クリムゾンの影を見いだすのですが・・・。

マクソフォーネというバンドは叙情的な美しさがひときわ光る名作を1枚残しています。同名アルバムに収録されたどの曲も、珠玉の名品と言って良い完成度を誇り、PFMでイタリアンロックに魅せられたリスナーなら是非聴くべきアルバムでしょう。80年代に、廃盤市場で2ndが(ヤクラというバンドのアルバムと共に)最高峰のプレミアがついたと言われるクエラ・ベッキア・ロッカンダは、イタリアンロック全盛時代に2枚のアルバムを産み落としました。1stはブリティッシュ・ロックの影響を色濃く残しながらも、イタリア特有の熱情的でメランコリックな作品に仕上がっています。特にB面はイタリアからしか生まれないといえる展開を持った組曲です。2ndはさらに完成度の高いユーロプログレの至宝と呼べるアルバムで、1stよりもアコースティック楽器を多用しているためか?洗練の度合いを強めています。そして何と言っても「イ・ジガンティ」の「犯罪の歌」というアルバムの凄さ!ボクのライブラリィの中でもトップ10に入れてしまいたいほどの素晴らしいアルバムです。イタリアのバンドは結構オーケストラとの競演という方法論をとって、シンフォニックなアルバムを多数残しているのですが、このアルバムは多数のゲストを迎えてあくまでもロックアーチストとしての最高峰のアルバムを目指した作品と言えます。かつてイタリアのマイナーレーベル「ビニール・マジック」からリリースされた輸入盤を聴いていた時は「こんなもんかな・・・」と最上級の評価の出来なかった同アルバムでしたが、これはマスターとは別テイクだとか…。
原盤マスターによるキング発売の同アルバムを聴いた時は、その違いに腰が砕けるほど驚きました。輸入盤には存在しなかったメロトロンの洪水とサウンドの分厚さは、「キングの宮殿」のクライマックス並・・・と言ってしまいたいほどです。(キングの宮殿を期待されては困るんですけどね。)オリジナリティといい、楽曲のクオリティといい、間違いなくイタリアン・プログレの頂点の一角をなす作品といって良いでしょう。クエラ・ベッキア・ロッカンダ以外は(別のお返事の項で紹介したショップ等で)国内版が手に入る可能性がありますので、その辺も参考にしてみて下さい。(クエラ・ベッキア・ロッカンダの両作品は、いづれもエジソンのジャパンレーベルで、かつて発売されたタイトルなんですが、現在は既に廃盤となっています。両盤とも輸入盤が存在しますが、現在入手できるかどうかは未確認。また、1stの輸入盤は「盤お越し」のため、少々スクラッチノイズが入ります。ボクはそれが我慢できなくて、結局廃盤市場で買い直しています。)

PS:前期と中期の切り分けは非常に難しいのですが、1stから2ndの途中(エピタフと呼ばれるライブボックスでは、1stメンバー時のアメリカ公演のライブが聴けるのですが、この時既に2nd2曲目の「冷たい街の情景」やB面3曲目の組曲「デヴィルズ・トライアングル」が演奏されていること、B面2曲目の「キャットフード」のクレジットは1st期のメンバークレジットであること等)までを前期、それ以降4thまでを中期(リーダーのロバート・フィリップ以外のオリジナルメンバーのピート・シンフィールド解雇時)とされているようです。

ついでに暗黒クリムゾン・フォロワーですが、色々な国から発生していて、プログレ界(そんなのがあればですが)で有名なのは、フランスのアラクノイ(確かに後期クリムゾン的なのですが、もっとクールでジャージーというか・・・ひとことでは表現できない感じ)とか、やはりフランスのシャイロック、スペインのコト・エン・ペル、日本の美狂乱等が知られた存在です。機会があったら、試されてはどうでしょう?

PS:ドイツのシンフォニックバンド「ヘルダーリン」の同名アルバムは、あまり言われないですがクリムゾン的展開が楽しめるお気に入りのアルバムなんですが・・・。しかし結婚式にクリムゾンの曲をかけちゃうなんて、スゴイ冒険をされたもんですね。いやあ、勇気なかったな・・・。

ご質問のアメリカン・ハード・プログレですが、TOTO、STYX、BOSTONは聴いたことがないので何とも言えないですね。カンサスは「ソング・フォー・アメリカ」や「Left Overture」を持ってます。想像していたよりも、出来は良かったですね。ただ、アメリカンプログレではイーソス等といった典型的なシンフォニック・バンドが特に気に入っています。日本のベルアンティークというマイナーレーベルより発売されているカテドラルの「ステンド・グラス・ストーリーズ」やイースター・アイランド、ザ・ロード、アトランティス・フィルハーモニック・オーケストラやナイトウィンズ等々、アメリカにも聴き応えのある作品が多数存在します。またアメリカのプログレ系マイナーレーベルの「シンフォニック」や「レーザーズ・エッジ」からも往年の素晴らしいアルバムが多数紹介されていて、アウトテイク集だと言われるペントウォーターというバンドのアルバムは「えっ、これがアウトテイク!」というぐらいのクオリティで、オリジナルアルバムを聴いてみたいものです。

そんな訳で、ボクのプログレ探求の旅はまだまだ続きます・・・。

高橋宏之


 

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