山崎さん、メイルをありがとう。

メイルの内容から、かなりのプログレッシャーと見ました。山崎さんはスティーブ・
ハケットがお好きのようですね。

山崎さんもスティーブ・ハケット&フレンズ公演に行かれていたんですか?ボクもも
ちろん行きました。あの公演、実は最初は知らなかったんです。確か、96年の年明
けに行きつけのショップ「ワールド・ディスク」で店長の中島さんから件の公演のこ
とを聞いて、早速チケットを新宿のチケット・ピアに買いに行ったのでした。白状し
てしまうと、その当時はまだスティーブ・ハケットってピンと来なかったんです。
ジェネシスというとピーター・ガブリエルというイメージが強くて、他のメンバーで
記憶にあるのはフィル・コリンズぐらいでした。(もちろん、ピーター・ガブリエル
の代わりにボーカリストになったドラマーというイメージで、10年ほど前にピンで
フィル・コリンズが売れっ子だったことも知らなかったボクは、劇場で映画の前のC
F・・・シネアドというヤツ・・・で、フィル・コリンズのシングルの広告がかかっ
ていてビックリしたぐらいに、その後の洋楽にはうとかったのでした。)ジェネシス
は当時の多くのプログレの中にあって演奏が一番地味だったことから、メンバーに興
味が行かなかったというのが正直なところでした。(だから90年代にもう一度聞き
直してみて「こんなに凄かったのか!」と改めて驚いてもいるのです。当時はトリッ
キーさが少ないことから、地味だと思ってしまったんだと思います。)

スティーブ・ハケットの公演も目当ては実は、イアン・マクドナルドでした。「イア
ン・マクドナルド=クリムゾン・キングの宮殿」というイメージが強いボクは、イア
ン・マクドナルドの来日ということと「当日、クリムゾン関係の楽曲もやるらしい」
という情報から、「行かんでかい!」という意気込みで、チケットを握りしめ、その
日を待ち望んだものでした。そして、当日・・・。

もう、スティーブ・ハケット&フレンズの来日公演はアルバムにもなりましたから、
その気になれば誰でもが聞くことができるのですけど、あの感動はあの場にいた者に
しかわからないでしょう。特に圧巻は「風に語りて」と「クリムゾン・キングの宮
殿」の2曲です。難波さん(かつてゲームのサントラ製作でお手伝い頂いて、少しだ
け面識がありまして、ヌオーボ・イミグラートのコンサートで「プログレ好きの高橋
兄弟」のことを語ってらしたとか・・・覚えていて頂いてうれしかったなあ)はマー
キーの中で「ハケットの初期の楽曲が素晴らしかった」と書かれていたのでしたが、
ボクにはやはりこの2曲に加えて、暗黒クリムゾンといわれる第3期クリムゾンの楽
曲に加えて、懐かしいジェネシスの楽曲でした。(このコンサートを見るため買って
いなかったジェネシスのタイトルを「ナーサリー・クライム」〜「静寂の嵐」まで買
い直して聞いたり、スティーブ・ハケット自身がジェネシスをトリビュートしたアル
バムを聞いたりしたおかげで、ジェネシスというバンドを再認識したのでした。)し
かし先ほどの難波さんのコンサート・インプレッションがきっかけになって、ス
ティーブ・ハケットのソロ作が気になりだした訳です。そして結局スティーブ・ハ
ケットのアルバムは初期の「Voyage Of The Acolyte」「Please Don't Tuch」
「Spectral Morning」「Defecter」等々から間を少々端折りながら「Guiter Noir」
まで聞いてしまいました。

山崎さんが大好きだというスティーブ・ハケットですが、ご指摘の通り(特に初期の
数作は)プログレアルバムとして作り込まれていると思います。そしてさらに思うの
は「ジェネシスのプログレ的な素養」はスティーブ・ハケットの影響が大きかったこ
とを、この彼のソロを通じて感じるのです。彼のサスティーンのかかった独特のトー
ンのギター・サウンドもさることながら、楽曲そのものの影響力の大きさを感じずに
はいられません。また彼の在籍した頃のジェネシスと、彼がバンドを去った後のジェ
ネシスという観点に立っても、ジェネシスのプログレ性がハケットにあったことを物
語っているようにかんじるのですが、どうでしょう?


さてメイルには、その他のバンド名も記されてありましたので、その辺も少々触れて
おきましょう。キャメルやキャラバンというバンドも、ボクには懐かしいバンドで
す。その他に書かれていたソフトマシーンも含めて、彼らの出自がカンタベリー地方
であったことと音楽的な共通点から「カンタベリー・サウンド」という呼ばれ方をさ
れているようです。ボクも最初は「カンタベリー系」って、どういう音楽か?わかり
ませんでした。だいたい、ソフトマシーンとキャラバンじゃ全然違うじゃん!という
風にも感じていました。しかし聞き進むに従って「系統としてのくくり」が自分なり
に見えてきた気がします。キャラバン等は時期やアルバムによってずいぶん内容が変
わるしポップなイメージもあるので、アルバム単体で見たのではわからないかもしれ
ませんが・・・。どうやらアンサンブル重視のジャージーなインストルメンタルを得
意としているのが「カンタベリー系」のようです。エッグというボクの大好きな「カ
ンタベリー系」のバンドのファーストなんかは、かなりアグレッシブにインストルメ
ンタルを決めてくれて、核はハモンドオルガンとベースのユニゾン!という感じで、
中間部はインプロビゼーションの混沌としたサウンドが雑然とした印象を与えるかも
知れませんが、ブリティッシュのオルガンサウンドが満喫できる一枚と言えましょ
う。(イタリアのバレット・ディ・ブロンゾというバンドの「ys(イプシロン・
エッセ・・・イースではありませんので悪しからず)」アルバムが超名盤として有名
です。このメチャクチャ格好良い「ys」ですけど、エッグの1stと驚くほど似て
いると思うのはボクだけでしょうか?)

またまた脱線してしまいましたけど、キャメルやキャラバンも70年代初頭の日本版
発売と同時に入手したバンド&アルバムとして懐かしいのです。当時はどうも音が軽
く感じられて、結構聞いたはずなんですけど、思い入れられずにガッカリした記憶が
ありました。ところが例えばキャメルの「ミラージュ」という3rdアルバムは、今
聞くと非常に格好良く、楽曲もアレンジも良く練られていて驚きます。当時は本当に
贅沢だったことや、ある一方向の音ばかり(メロトロンだったんでしょうかね?)追
いかけていたため、こんな素晴らしい音楽を受け入れていなかったなんて残念なこと
をしたものだと、今更ながら感じずにはいられません。一般的にはキャメルは「ス
ノーグース」だと言われているらしいのですが、ボクにとっては絶対「ミラージュ」
なのです。(当時の思い入れも込みなのか?)「ムーン・マッドネス」なんていうア
ルバムも、ミラージュ的なロックサウンドで聴き応えがあってお薦め。さて一方の
キャラバンですが、先にも述べた通りアルバム毎にずいぶん印象が違うのですが「グ
レーとピンクの地」というアルバムが一般的には代表的アルバムなのだそうです。実
は当時、ボクもこのアルバムを買って失望し、新たに90年代に買い直して聞いてみ
てもどうもポップなんです。そこで、もう少し別のアルバムも聞いてみたところ、ボ
クにとっては他のアルバムの方が断然良かったんですね、これが!前出のアルバムの
次ぐらいに名作扱いされる「夜毎肥る女のために」や「カニング・スタンツ」等、適
度にプログレッシブにしてキャラバン風味が心地良い傑作なので、山崎さんは聞いて
いらっしゃるのかも知れませんが、ボクにとっては発見でした。そうなってくると面
白いもんで、それまで良くないと思っていたアルバムまで好印象になってくるから不
思議なもので、今や結局キャラバンは全くカンタベリー系らしいバンドとしてボクの
中でもお気に入りのバンドのひとつになってしまいました。例えば「ポップ過ぎる」
という理由で愚作扱いされている「ダンスタン通りの猟犬」という後期のアルバムで
さえ、けして悪い出来ではないと思えてしまうのですから・・・。

そんな訳で、最初は印象の薄いカンタベリー系ですけど、聴けば聴くほど味が出るユ
ニークなバンドが多く、さらにジャズロック的に聴けるバンドも多いことから、長い
年月に渡って愛聴出来るのではないか?とも思う訳で、今後ちゃんとした形で取り上
げていきたいと思うので、こうご期待・・・ということで今回はペン(キーボードか
な?)をおくことにしよう。

                                 高橋 宏之 


 

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