バンダーグラフ
プログレの部屋に遊びにいらしている方でバンダーグラフ未体験の方は少ないと思いますが、一応バンダーグラフについて説明しますと、コンポーザーにしてボーカルとギターを担当するピーター・ハミル(アルバムには他にピアノ等のクレジットも有り)をリーダーとするアグレッシブなブリティッシュ・プログレバンドで、ハミルの他にヒュー・バントン(キーボード、ベース)、デビッド・ジャクソン(サックス、フルート)ガイ・エバンス(ドラム、ティンパニ)の総勢4人によって結成。サウン
ドは典型的なブリティッシュロックです。あのブリティッシュのくぐもったような響きは70年前後のブリティッシュにしか絶対あり得ない音であると断言できます。(たまにはブリティッシュのサウンドを意識したユーロロックもありますけど・・・それもやっぱり、ボクに言わせればブリティッシュです。)彼らのバンドの特徴は何といっても特徴的なハミルのボーカルと、フリーキーに暴れ回るサックス、フルートに尽きます。ハモンド、ベース、ギター、ドラムは、それらをサポートする役目に徹している感が強いですが、それらのプレイも又堅実で好感が持てます。クリムゾンの、どの楽器・プレイヤーもが出しゃばって来るようなイメージとは対象的といえるでしょう。サウンドのイメージも似ているようで対照的です。クリムゾンが幻想性を強調したのに対し、バンダーグラフはスペイシー。これは、バンダーグラフのサウンドがエコーを強調していたことに大きく影響している・・・とボクは見ますがどうでしょう。アルバムジャケット自体、宇宙を強調したものが多いことからも、スペイシーさを意識していたことは明白です。(ちなみにジャケットはポール・ホワイトヘッド。)今意識して聞き直してみる(例えば3ndアルバム等)と、サックスの響きなどはアシッドな感覚も強く、キャタピラー(やはり70年代前後のブリティッシュ・プログレバンドで浮遊感の強いアシッド系のプログレと言えると思います)等サイケ色の濃いプログレバンドとの共通項もうかがい知れます。



りあるたいむ
70年代当時、ボクがリアルタイムで入手できたバンダーグラフのアルバムは3rd「H to He Who am the Only One」4th「PAWN HEARTS」だけでした。これにしても当時は輸入盤店を随分探した記憶があります。更にその後ハミルのソロ作を1枚ほど入手しました。ソロ3rdの「The silent corner and the empty stage」で、とても暗示的で美しいジャケットだったことを覚えています。当時は同タイトルをソロ作と認知することが出来ず、ピーター・ハミル&バンダーグラフ名義のアルバムだと誤解していました。(ソロ作だということは、90年代に諸所の参考資料によって明らかになったのです。)クレジットを見ると、それぞれ70年71年74年となっていますので、多分バンダーグラフ名義のアルバムは発売後時間をおいて買っていたのでしょう。ハミル名義のソロはリアルタイムだったはずです。当時弟(=弊社の副社長です)がソロ1stの「Fool's mate」と6thの「Still life」を持っていたそうです。(フールズメイトは彼が持っていたのをよく覚えていますが、プログレ雑誌名にまでなった名作と知って今更ながらちょっと悔しいです。)とまあ、これが当時におけるボクのバンダーグラフの知識の全てでした。当時は輸入盤ですからライナーもなく、当然ながらアルバムの背景も知る由もなく、バンダーグラフが4th以降しばらくの間活動停止していたことさえ知りませんでした。当時ボクはソロ3rdをバンダーグラフだと思い、聴いてみて「ああ、バンダーグラフもバンドスタイルが変わってきたな」なんて、少しだけ失望させられてもいたのでしたが・・・。(実はソロ作では最高作との呼び声が高いアルバムだったらしく・・・バンダーグラフだという耳で聴いてたから、不満が残ったのかも知れません。確かにいいアルバムで、アグレッシブさに欠ける部分はあるものの・・・これで文句を言ったらバチが当たることを今更ながら再確認です。)


客演
バンダーグラフは大きく分けて1stから4thを出した69年から71年の前期と、5thから7thまでの中期、解散してバンド名からジェネレーターが失くなった8th以降の後期に分けられます。(頭文字表記で言うとVDGGがVDGになった訳です。)前述のバンダーグラフの音楽解説は、ボクが70年代に熱中して聴いた前期バンダーグラフを指していると思って下さい。特にボクが熱中して聴いた3rd、4thは70年代初頭のロックスピリッツ溢れる素晴らしい作品だと断言できます。
実は当時にはジャケットを隅から隅まで眺めていながら気付かなかったのですが、両アルバムにロバート・フリップがギターで客演していたのです。当時そんなことを意識していたら卒倒してたかも知れません。うーん、何て注意力がなかったんだ・・・。もしかすると目には止まっていたのかも知れませんが、あの「クリムゾンのフリップ」がバンダーグラフで客演してる何て思いもしなかったのかも知れません。(また、もしかすると目に止まっていたのかも知れませんが、あの当時のクリムゾンのヒーローはボクにとってフリップではなく、イアン・マクドナルドやグレッグ・レイクだったことを白状します。ですから、フリップの名前を見てもあんまりドキッとしてなかったので記憶に残っていなかった可能性もあって情けないです)それを教えてくれたのがワールドディスクの中島店長でしたが、顔から火が出るほど恥ずかしかったなあ・・・。まあプログレファンの方々でもしも気付いてらっしゃらなかった方がいたら、得した気持ちになって下さい。

何でもバンダーグラフのファンの間で人気が高いのは4thと6thらしいのです。4thは全3曲45分の超大作で、うねるようなサックスが印象深いスペイシーなアルバム。アルバムの全面に渡って攻撃的なため、一気に集中して聴き通すとめまいを覚えそうです。フリップ翁も弾きまくってますし、ハミルのボーカルもアグレッシブで、バンドの勢いがそのままアルバムに出ているかのようです。更に、このアルバムでインパクトがあったのが内ジャケットの写真。ピーター・ハミルに「ハイル・ヒッ
トラー」しているメンバーたちが印象的で「ハミルって独裁者みたいなヤツなのかなあ」なんて勝手に想像していたことを思い出します。
 6th「スティルライフ」は4thとは対照的に内省的なイメージが強く、アグレッシブな演奏を期待していたボクはちょっとガッカリしました。(このアルバム、実は90年代のプログレ復帰後に初めて聴きました・・・念のため。)しかし実は何度も聞き返してみると、強弱の付け方が大きくなったというのが正しいようで、全面アグレッシブとは行かないまでもバンダーグラフらしさは各所に溢れています。ソロ作とバンド作の中間といった感じでしょうか?


←PREVNEXT→


戻る