Sep. 12, 2004 


 

 手術をする限りにおいては確かに病人なのでしょうね、ボクは。しかし前述の通り、エコーという検査で見つからなければわからなかった腫瘍が原因の手術なワケで、ボク本人にとっては何の自覚症状もありません。それなのに、「検査入院だ」とか「手術だ」と言われても「ハイそうですか」と、病人の気分になれるわけないと思いません?しかし一般的には、ボクみたいな入院患者も「入院している間に病人になってしまうもの」で床に伏せがちになる模様、なのにボクは「高橋さんは入院患者じゃないみたい」だと看護婦さんに言われてしまいました。つまりボクは「入院患者っぽくない」ことから、かなりの異端な入院患者ということになるみたいです。
 ボクは退屈というのが我慢出来ない人間なんですけど、本を読んだりテレビを見たりゲームをやっているというだけだと、これが解消出来ないんですよねぇ……。基本的にじっとしていられない質なのです。ボクが入院していた時期は特に天気が良くて暖かい日が続き、とても晩冬とは思えない気候が続いていました。そんな「のどかな風景」を見ていると、部屋にひきこもっている自分が情けなくなるのです。思わず、ヒンズースクワットが出ます。腹筋も始めます。腕立てもしたくなります。イスの肘の部分を利用して結構ヘヴィな腕立てです。ストレッチもやります。そういう姿のボクを見て看護婦さんたちは笑うんですよ。「患者らしくない」ということのようです。そして前述の看護婦さんの言葉になるワケなのです。
 担当医の先生から「手術は体力ですから、運動して下さい」と言われたのが切っ掛けで、病室の中でトレーニングすることになるのですが、先生はボクの入院している病棟の4階の「廊下を歩きなさい」ということで体力をつけさせたかったようです。しかし「病棟の廊下を歩く」というのはボクの辞書では運動ではないのです。運動をして体力をつけるというのなら、疲労を感じるほど運動をしなければならないのです。そうしてこそ、初めて体力がつくのだと信じて疑いません。結局、手術の前日までにかなり毎食後の運動はエスカレートして、スクワットに至っては1日千回を超えてしまいました。手術当日、看護婦さんの持ってきた移動式ベッドに乗るのがきつかったのですが、実はそれは麻酔のためではありませんでした。スクワットによる筋肉痛のためだったのです。「足が上がらない」と思った瞬間にはさすがに「オレってバカだなあ」と思わずにはいられませんでした。
 更にボクのバカは続きます。「手術後の回復のため、翌日からドンドン歩いて下さい」と先生から言われました。まあ、これも後から重大な問題を起こすのですが、その前に看護婦さんへ「売り言葉に買い言葉」的な引くに引けない状況を作ってしまったのです。スクワットをやっているボクに、看護婦さんは「手術後もその調子で運動して下さい」と言ってきたのですけど、その言葉の調子にどこか冷やかすようなニュアンスがあったものですから、「えっ、やっちゃっていいんですか?」と言った上で「良いんだったら、頑張っちゃおうかな」と応えたものでした。そう言ったボクを見る看護婦さんの目は、やはり少しだけボクをバカにしていたように映ったのだけど……。

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