Feb. 28, 2003 


特集・デュンなバンドたち DUN
 本当に燃えさせてくれるようなプログレの再発を聞かない今日この頃、久しぶりに「これは」という思わせてくれたのが、やっと聴く順番が回ってきたフランスの「DUN」というバンドでした。2000年4月にマーキーから国内発売までされたアルバムだったのですが、最近聴いたアルバムの中ではピカイチと言って良い出来です。先述の通り、最近は燃えさせてくれなかったプログレ界ですが、このアルバムでやる気が出てきたということで、今回はDUNなバンドたちということでミニ特集をしてみることに決定しました。

◎久々に来たぞ!のDUN

 デュンというバンドは先の再発まで、それほど大騒ぎをされたこともないフランスのアンダーグラウンドなバンドでした。もちろんマーキー刊のフレンチロック集成には乗っていたと記憶しますし、ひどい評価をされたというイメージもありませんでしたが、同書を読んで「絶対欲しい!」と思わせるようなレビューにもなっていなかった気がします。しかしボクが聴いた感じでは、ここ最近のリイシューモノの中では確実にトップの内容を有しているバンドだと感じさせました。バンドのイメージを他のバンドに例えるとというのは、今回の特集のデュンなバンド紹介に譲ることとして、早速彼らの音楽について説明することにしましょう。

 「エロス」と題されたデュン唯一のアルバムは、81年に自主制作の形でひっそりとライヴ会場のみで販売されたに過ぎないそうです。同バンドはドラム、ギター、キーボード、パーカッション、ベース、フルートの6人のレギュラーメンバーにて、本作の製作を行っています。(同作のCD盤にはDUNへの改名及びメンバーチェンジ前に収録されたと思しきデモ・テイク3曲とアルバム未収曲1曲が収録されていて、そのデモの内の1曲と未収曲にはサックスがゲスト参加。)こうやって書くと全員が当分の活躍をしているアルバムという風なイメージを持たれるかも知れません。確かにメンバーのそれぞれが効果的な役割を果たしていて、メンバー数ほどの音の厚みを感じさせないかも知れません。しかしその実、とても緻密でタイトなアコースティック・ジャズロックをテクニカルに決めています。一方、全員一丸となった迷宮的な分厚いアンサンブル部では邪悪系イタリアンロック的な表現もあったりします。
 そんな彼らの音楽で効果的な役割を果たしているのは間違いなくマリンバとフルートです。マリンバとフルートでアコースティック・ジャズロック的な表現というとカナダのマネイジュを思い起こされる方がいらっしゃると思いますが、精緻なバンドアンサンブルでは2ndの頃のマネイジュのイメージは強いです。(さすがにバスク地方のアーティストはフランス圏だけあって共通点があるのでしょう。)しかし実際のデュンの音楽は彼らよりもずっとドラマチックです。イタリアの名バンドであるチェルヴェロの唯一の作はエロスではなく「メロス」ですが、彼らほどではないにしてもかなりミステリアスな組曲風のアルバムになっていることはたしかです。まずアルバムのオープニングからして大仰。タムの連打に続く全楽器によるユニゾンでリスナーの不安感を高めます。続くテーマ部ではマリンバをパーカッション的に使いながらのフルートソロが効果的。そしてさらに叩きつけるようなピアノとギターのリード部に続くのですが、ここまでの3分だけでも次々と変化していく様は正に万華鏡です。同じスタイルのアレンジや表現はほとんど続かないと言って良いでしょう。アグレッシブな1曲目とは対照的な導入部の2曲目は、前出のマネイジュを彷彿とさせる繊細でテクニカルな曲。抑えめな収録のサイド楽器にそれぞれの楽器がテーマのソロを取っていきます。4分過ぎからは演奏がグッと走り出して、ドラムも倍速を刻みだしますが、相変わらずのソロ回しを軸に進んでいきます。更に6分過ぎはリズムが倍速化……と静謐なオープニングが螺旋状に急速調へと進んでいくような展開を持った曲。B面に当たる3曲目4曲目もそれぞれに工夫したアレンジやテクニカルなプレイが光ります。マリンバとフルートがユニゾンを取ったり、不協和的なアンサンブル表現をした時はマネイジュ的なイメージはつきまといますが、ボクが個人的に彼らの最高作だと思っているマネイジュの2ndに匹敵するほど好印象に感じたのがDUNの「エロス」だったのです。
 自主制作にしてはアルバムのプロダクションもしっかりしていますし、もしもまだ未聴のコアなプログレッシャーでしたら、是非聴いてみて欲しいアルバムだと感じました。

まだまだ続きます→

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