Aug. 29, 2003 


*パオロ・フレスキューラ*

  何とも地味なジャケットのアルバムです。このアルバムをボクに勧めてくれたのはワールドディスク店長の中島さんでした。しかしジャケットがパッとしないので、最初はかなり引き気味だったことを思い出します。当時は一通りキングの再発ものもこなした時期で、次の展開を模索していた時期だったと記憶します。相変わらずイタリアの外盤ものの再発は活発で、その中の一枚として勢いで買ってしまったところがありました。何しろボクにとってはイタリアものに外れ無しという時代でもありましたからねぇ。
 ジャケットだけを見ると、アンドレカンドレ時代の井上陽水氏じゃないかと見まごうばかりでしょ?アフロヘアーにサングラスのお兄さんがジージャンを着て肩からギターをかついでいるジャケットですからねぇ……。「傘がない」とか「人生が2度あれば」が流れるんじゃないかと思っちゃいますよね。ところが実は繊細なんですよ。(陽水さんも繊細ですけど、向かっている方向が違うということで……。)少なくとも、ゴブリンのクラウディオ・シモネッティと前述のチロ・ダミッコが参加していることはたしかで、それだけでもプログレッシャーの期待は高まるのではないでしょうか?


 さて内容の方ですが、まず1曲目を聴いてみると結構井上陽水的なアレンジだったりしますが、当時の井上陽水のアレンジャーだった星勝という人は多分にプログレに影響を受けていたアレンジャーで、「井上陽水的だと言うこと」がとても聴けないアレンジであるという意味ではありません。特に2コーラス目のサビの部分では結構シンフォニックだったりします。だけど1曲目はシンガーソングライター(SSW)的なので多くは期待しないで下さいね。
 続く2曲目はまるでウンベルト・バルサモ並の哀愁漂うシンフォ作。冒頭からのストリングスメロトロンがイタリアの夕暮れを想起させます。歌声もとても切ないですし、日本人のツボにはまるというか……。しかし2コーラス目は更に盛り上がります。生のストリングスが加わってくるからですが、これこそカンタウトーレの醍醐味と言える1曲でしょう。
 3曲目はとてもイタリア的なリズムのカンタウトーレ作。中間部のアコースティックギターのユニゾンのアルペジオがとても良い感じです。もちろんオーケストラアレンジです。
 4曲目はまるで地中海の昼下がりのようなイメージの曲です。冒頭部はゆったりとしたアコースティックギターの引き語りだからかも知れません。
 5曲目はピアノのアルペジオで始まる哀愁の1曲です。オーケストラが重なって、叩きつけるようなピアノの音色とが大音量で響くサビの美しさを何と形容すれば良いのでしょう?ピアノのみの儚げな小音量部と全ての楽器が最高潮に鳴り響く部分とのギャップが、一層曲を盛り上げます……というような感じで最後まで期待を裏切らない、とても清々しいカンタウトーレらしいアルバムがパオロ・フレスキューラです。

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