Sep.2,02 



ディープ・フィーリング
 次にご紹介するのはディープ・フィーリングです。ディープ・フィーリングもクオーターマス等とは違うのですが、やはり思い出深いアルバムです。同アルバムは日本フォノグラムより94年に発売されました。当時同時に発売されたのは、ジェントルの初期3枚や、セバスチャン・ハーディの2枚、スタックリッジの後期2枚、クレシダの「アサイラム」にアフロディテス・チャイルドの「999」等でした。広告ではカヤックの「マーリン」が乗っていましたけど、実際には発馬されなかったような気がします。当時は今ほど、アルバムを買うのに躊躇しない状況ではなかったですし、他にも欲しいアルバムが沢山ありましたので、全てのアルバムを購入するという思考はありませんでした。キングもバンバンと新譜を発売していた頃だったと思います。当然ブリティッシュロック集成等やマーキーの評等も参照しました。ところが、それらを見ても絶対購入しなければならないアルバムなのか? どうかが判然としなかったのですね。何しろ当時はイタリアンものにメロメロで、「やっぱりブリティッシュは良い」という思考も働きませんでした。確かに幻級のレア・アイテムのリリースではあったらしいのですが、プレミア物が絶対であるという先入観はありませんでしたし、当時発売されていたアルバム自体がみんなプレミア物ばかりという状況でしたからねぇ。先のニドロローグにしても、当時のキングのイタリアもののムゼオやレアーレやジガンティ、チェレステに至るまでみんなプレミアものですもんね。もう既に廃盤になろうとするアイテムも沢山ある中で、それらを押しのけてまで買うべきアルバムなのかがわからなかったのです。

「どうしたものかなあ」と思っていたら、秀五氏は躊躇無く「買い」のフラグが立ったらしく、発売当初に買ったんだと思います。そして購入した感想を聞くと共に、実際中身も事務所でかけてもらいました。その時出た結論は「購入は見合わせ」というものだったのです。何だか、とってもポップでしたしイタリアものほどに派手さも感じなかったからです。しかし、それが間違いだったのです。同アルバムは知らない間に廃盤化してました。こうなってくると気になってしまうのだから、やっぱりボクってマニアなんでしょうね。もう廃盤になってしまっているのだけど、今だったらまだ間に合うかも知れないと、もう一度中身を確かめずにはいられなくなってきます。秀五氏にお願いし、もう一度聴かせてもらうことにしました。そして聴いてみると「アレ? 」前に聴いた時と印象が違うんです。あの時は重要なアルバムとは思わなかったのに、あらためて聴いてみたらとってもプログレッシブに聴こえてしまったんです。「こんなに良かったんだっけ! 」(「汗」)買わないと、「一生後悔するかも」というわけでCDショップへ。だけど見事にない。あれほど余ってると思っていたら、いつの間にか? 影も形もなくなってました。やっと見つけたのは、それから1年以上立ってからです。「気になるアルバムは買っておけ」という名言が胸に染みたのが、ディープフィーリングというアルバムだったというわけです。

 ・ ・ ・ 

さて内容です。まず1曲目の冒頭のコーラスは何だかビーチ・ボーイズみたいなのに、すぐにハモンドのリードで始まるボーカル部はモロにブリティッシュ。しかも直後の短い間奏部はまるでエッグのようなエキセントリックな展開と幻想的なコーラス。これだけで、誰がどう聴いてもプログレ。2コーラス目のボーカル以降はちょっと中期ピンクフロイド的な余白のある幻想的な間奏が入ります。構造的とか構築的というには抵抗がありますが、6分弱はアッという間に終わります。

2曲目はアコギで始まるフォーク調のボーカル曲。コーラスの感じはムーディーブルースっぽくもあります。伴奏はアコギとベースのみの曲ですが、その分コーラスの美しさが引き立っているようにも思います。

3曲目は「おや、どこかで聴いたことがあるぞ」と思ってライナーを見直してみたら「クラシカル・ガス」でした。同曲はベガーズ・オペラで有名な曲です。ハープシコードの品の良いフィーチャーが印象的です。全体的にベガーズ・オペラよりも荒々しさがないので、どちらの「クラシカル・ガス」に軍配を上げるかは悩みどころです。ただディープ・フィーリングの収録条件は全体に丁寧な感じですので、一発取りっぽいヴァーティゴ・レーベルのベガーズよりも楽器の分離度などは明らかに上です。こちらの方が繊細な分だけ、ロックのダイナミクスが足りないというリスナーもいるかも知れません。

4曲目はタムのロールから始まる「ギロチン」です。前述の「クラシカル・ガス」ではベガーズとの差を見せつけてくれたディープ・フィーリングでしたが、この曲はむしろ全体的にベガーズっぽいアレンジ。いかにもハモンド系ブリティッシュロック。昼間部ではクラシカルなハモンドによるソロが大々的にフィーチャーされていて、全体的に派手さの少ない同バンドの懐の深さを見せつけられます。

5曲目はギター・カッティングにスライドギターのリードによりアメリカンな「ふんわか」脳天気ボーカル曲。(このバンドの人たち、やっぱりビーチ・ボーイズが好きだったんだ。)4曲目までの流れはブリティッシュのメジャーレーベルらしい重厚な仕上がりなだけに腰が砕けます。(ここまでせっかく良い流れが出来てるのに、何を考えてるんでしょうね? この人たちは。)当時ダメだと思った原因は、この曲だったのかも知れません。しかもこんな曲のクセして5分もやってるし……。

そして最後の曲は「ルシール」。この曲ってロックンロールのスタンダードでしたよね。ビートルズもどこかでやってなかったかな? エルビスはやってなかったと思います。チャック・ベリー? 何しろ、そういう曲です。ハードロック調にまとめてあると言えば、その通りではあるんですけど……これもプログレではありませんね。おかしいなあ? こんな腰が砕ける曲がラスト2曲も続くなんて、購入当時のイメージとは変わって来ちゃったぞ……。やっぱり、こうやってあらためて聴いてみるとまた印象が変わってくるのが、良くも悪くもB級の面白さってことでしょうかね。B級、バンザーイ!


……なんて調子に乗って書いていたら、もう今月の規定枚数オーバーという量に達してました。まだ、用意していたアルバムの半分も終わってないのに……。というわけで、続きは次回と言うことでよろしくお願いします。(何か、リクエストでもありますか? )



今月の1枚→

INDEX HOME