Oct.2,02 



単発もののブリティッシュ・プログレの名盤 II
 前回、このコーナーについて反響は何にもありませんでしたので、「1回で止めちゃおうかなあ」と思ったりしたのですけど、ボクの大学の後輩の服部君(今、映画関係の会社に勤めています)より「ニドロローグは本当に良いですか? 」とか「クオーターマスの記事には共感しました」というようなメイルをもらいました。「やっぱりボクと同じような感想や経験を持っている人はいるんだなあ」と思ったりして、取り敢えず今回は続編をやることにしました。



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 ウェッブも思い出深いアルバムです。これを購入したのも、93〜4年の少量再発(エジソン)のタイミングのことでした。元々狙っていたのは秀五氏で、ブリティッシュロック集成の情報からだったようです。ワールドディスクの廃盤セールの直前の頃だったと思うんですが、同店の店長の中島さんから「ウェッブが少量再発されるみたいですよ」みたいな話が会話の中で出たんだったと思います。ボクは「ウェッブ?? 」という感じでしたが。秀五さんは「それ、本当ですか! 」みたいな驚きようだったと思います。ボクは当時、ブリティッシュよりもユーロロックまっしぐらでしたので、彼らの会話についていけなくてとても歯がゆく感じられました。結局、再発版を購入する時でさえ、大した知識も持たずに「ついでに買っておくか? 」的な乗りで購入してしまったアルバムだったのです。何しろジャケットがプログレしてます。黒いアヒルのような胴体にアヒルの顔に変形させた手から腕にかけての部分が合成されている動物が配されて……気味悪さはなかなかのものです。さらにジャケット裏面も犬の胴体に手が合成されるなど、趣味の悪いヒプノシスといったジャケットが購買意欲をかき立ててくるものでした。

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 そしてこのアルバムの中身なのですが、典型的なブリティッシュロックの臭いをぷんぷんとさせていながら、既成のブリティッシュとは一線を画すオリジナリティが光ります。少し多めのリヴァーブの元でモダンとアグレッシブが交錯するようなアレンジが、中期グリーンスレイドを感じさせるようなアルバムでもあります。特にモダンな響きの場面では、グリーンスレイドの3rd辺りのイメージが強まります。アグレッシブな場面では叩きつけるようなアコースティックピアノと絞り出すようなテナーサックスが緊張感を高めます。この「アイ・スパイダー」はウェッブの3rdアルバムで、同バンドの最終作であり最高作と言われる作品です。彼らは基本的にロックとジャズを融合させるようなサウンドが特徴となっていて、それは1stの頃からの彼らのオリジナリティでもあったようですが、1sや2ndはこのアルバムほどの完成度を示していませんし、多分に中途半端な作品だったということです。そんなウェッブが何故、3rdのようなスケールの大きなプログレッシブロック作を完成させることが出来たかというと、それは3rdアルバムで参加し、全ての楽曲のコンポーザーとしてボーカルとしてキーボードとして貢献したデイブ・ロウソンの存在無くしてはあり得なかったでしょう。件のデイブ・ロウソンはご存じのように、その後ツイン・キーボードで一世を風靡したグリーンスレイドのオリジナルメンバーです。彼はグリーンスレイドにあってはリーダーの元コラシアムのデイブ・グリーンスレイドや元クリムゾンのアンドリュー・マカロック等に比較すると影の薄い存在のように映りますが、このアルバムを見る限りではグリーンスレイドでもかなりの貢献をしているのは明白だと思わざるを得ません。

 一般的にはこのアルバム、ジャズロックとして紹介されているような気がします。たしかにそんな感じの場面が随所に登場するのは事実ですけれども、全体の構成は明らかにロックのそれに他なりません。是非、一度機会があったら試してみることをお薦めします。


 ちなみに、彼らは一度このアルバムで解散し、サムライというバンドを結成します。このバンドはウェッブよりもジャズロック色の強いサウンドを有していますが、やはり中身は一級品の出来です。ウェッブが気に入られた方は、是非そちらも試されたらいかがでしょう。



まだまだ



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