Apr.24,02 



紙ジャケ・リリース
ここのところ、プログレの紙ジャケ化が着々と進行しています。キングクリムゾンやイエス、ELP、ジェネシス、ルネッサンス等の大物所の紙ジャケ化が一通り終わりましたが、その後ストレンジディ・プレゼンツの一連のブリティッシュやヴァーティゴやデッカ・デラムの紙ジャケ化から始まって、その後プログレの紙ジャケはユーロロックに飛び火を始めています。取り敢えずフィリップスのイタリアものが発売(イビスやジャンボなんかですね)されましたが、まだまだ大物所がゴチャッと残っています。そして今回、3月下旬発売予定として(多分)イタリアの幻のレーベル・トライデントものを中心としたシリーズがディスク・ユニオンのオリジナル・レーベル・アルカンジェロよりリリースされることになりました。それは以下のタイトルです。

◆デダルス
◆トリップ/タイム・オブ・チェンジ
◆セミラミス/デディケイト・ア・フラッツ
◆ビリエット・ペル・インフェルノ
◆オパス・アヴァントラ
◆デダルス/デダルス2ND


 デダルスは、トライデントの1番最初に発売されたタイトルらしいのですが、このアルバムは以外とイタリアっぽくありませんね。かつてのCD発売の頃の記事には「スペーシーなジャズロック」と評されていました。確かにデダルスはジャズロックといえるサウンドのバンドです。リズム陣がシャープで歯切れが良いです。ギターはスティーブ・ヒッレジっぽい音色で弾きまくりますし、テナーサックスやヴァイオリンも要所で切り込んできます。しかしサウンドの雰囲気はエッグっぽくもあるようですし……。しかしキーボードはエレピが主体で、ハモンドは聴かれない(少しはあったかな)のでブリティッシュロックというカテゴリーには向かわないで、カンタベリーっぽく響くのかも知れません。テクはかなりのものだと見ました。同作は結局日本発売されることはありませんでしたので、日本発発売ということもありマニアには嬉しいリリースと言えるでしょう。

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 トリップはかのフリオキリコ(アルティ・エ・メスティエリ)の在籍したバンドとして有名ですね。トリップは「カロンテ」「アトランティーデ」「タイム・オブ・チェンジ」と3枚のアルバムを残して解散していますが、トライデントから発売されたのはこの最終作の3rdとなります。2ndはエジソンから日本プレスで、また3rdはキングより輸入盤に解説と帯を付けた形で日本発売されていました。トリップは典型的なキーボード・トリオと呼べるバンドですが、ボクの印象ではELPというよりはナイスといった感じで、ELPのモダンで先進的なサウンドとは少々違う感じがします。これはキーボードの使用楽器や全体のプロダクションといったことが大きく関係しているのかなという気がします。テクニック的には十分なモノがありますし、かつてアナログ時代には相当のプレミアムのついていたアルバムだそうですから、特に未聴の方には有り難い再発ではないでしょうかね。

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 いきなりの不協和音とマリンバ(ビブラフォーンのようです)の連打から始まるセミラミスの唯一のアルバムは、ユーロロック・ファンが好むタイプのオドロオドロしいイタリアンロック・バンドです。かなり強引な展開と押しと引きの妙味は、イタリアンロックの醍醐味だと思うのですが、そうした要素が理想的に詰まったアルバムだといえましょう。彼らが紹介される際にオザンナやチェルベロを引き合いに出されることからしても、彼らの音楽がどういったものであるかが伺い知れることと思います。セミラミスのメンバーはなかなかのテクニシャン揃いですし、楽曲の構成やアレンジも凝っていて飽きさせません。かつてベル・アンティーク・レーベルよりユーロロック・マスターピース・シリーズの1枚としてリリースされた本作、ユーロファンだったら必ず持っていたい1枚であるといえるでしょう。

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 今回のトライデント物は、どれもレアでアナログ時代には高プレミアがついていたレアアイテム揃いなのですが、ビリエット・ペル・インフェルノもやはりそうしたアルバムの1枚だといえるでしょう。本作も前3作と同様にビニールマジック・レーベルよりCD再発されていましたが他のアルバムより地味に聴こえてしまうのは、どうやら楽曲や演奏の問題ではなくマスタリングやサウンド・プロダクションの問題のようです。実際、集中して耳を傾けると他のアルバムよりシンプルに感じる楽曲構成の中にも凝ったアレンジを施していることがわかるからです。またユーライアヒープばりのコーラス・ワーク等は他のアルバムにない特色となっています。彼らは通常のバンド編成にプラスしてツインキーボードに唾吹きフルートという構成になっているのですが、迫力ある独特のサウンドに一層の厚みを加えています。彼らのサウンドを「迫力のある独特のサウンド」と評しましたが、その通り彼らはヘビィなサウンドを有していて「ユーライア・ヒープばりのコーラス」というのはコーラスばかりのことではありません。こういうサウンドをヘビー・プログレッシブというのだと思いますけど、確かに歪んだギターやハモンドの響きはヘビーそのものです。そこにイタリアンロックの特色をマブしたイタリアンロックでしかあり得ないサウンド……というのがピリエットなのです。彼らの楽曲はシンプルという表現をしましたけれども、イタリアらしい強引な展開も十分に味わえます。

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 さて、困ってしまったのがオパス・アバントラです。イタリアンロックの代表作として扱われることの多い同バンド、ボクはどのように説明すれば良いのでしょう。同作は、マーキー刊の「イタリアンロック集成」の表紙にもなっているアルバムです。例のドネラ・デル・モナコの悩ましげでうつろな表情のジャケットです。当時、まだキングからの再発番の前の既にプレミア付きだった日本盤CDを見つけた時、ちゅうちょなく購入したのは彼らへの期待が膨らみ過ぎていた頃でした。そして聴いてみた印象はというと……けして芳しいものではありませんでした。いったい何がダメだったのかというと、彼らのサウンドは余りにも当時のイタリアンロックとはかけ離れていたからという以外にありません。ボクもまだプログレに復帰して1年ぐらいの頃で、ユーロロック・ハンドブックWに表記されているアルバムを厚めまくっていた頃ですから、大して多くのアルバムを聴いていたわけでもありません。そんな時に聴いたオパス・アバントラは異形というしかないような怪異なサウンドだったのです。ボクはあまりのショックで、欲しいという人間にあげてしまいました。当時聴いたアフロディテス・チャイルドの「666」と共通するというか……当時は同作もダメで、やはり人に上げてしまいましたけど……。しかしアフロディテスはその後買い直してますし、今だったらオパス・アバントラも聴けるのでしょうか?ボクはお薦めすることはできませんけど……。今回はどうする? と聴かれたら「買う」と答えるでしょう。何故なら、ディスクユニオンのBOXが欲しいから……というつまらない理由ですいません。でも、ボックスって良いんですよね。あれがあると、要らないアルバムまでついつい買っちゃって……。レインボーも本来なら初期2作なんですけど、BOXの出来が良いんで買っちゃったんですよね。ボクってマニアだなあ……。オパス・アバントラはかなり現代音楽がかったサウンドであることを肝に銘じて、覚悟の上で購入することをお勧めします。(けして万人向けではありません。もっとも、プログレが万人向けじゃなかったかな? )

 以上、今回のトライデントのイタリアン紙ジャケについて、簡単なインプレッションをお届けしました。どうか、購入時の参考にしてみて下さい。



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