Feb.28,02 



PFM再来日
 PFMのライブといえば忘れられないのが、難波さんと秀五氏の楽しそうな会話です。今から数年前、某ハードのRPGのサウンドトラックを桜庭君(ジャップス・プログレではおなじみですよね、そしてゲーム・ユーザーの方ならボクらのゲームのサウンド・コンポーザーとしても著名です)がスタジオ収録した時のこと、ゲストでお招きしたのが難波さんでした。先日の難波さんのライブでは、(当然といえば当然なんでしょうが)ステージで山下達郎さんとマブダチのように話をしていたのが印象的で、ゲストでお招きした時にはこちらがマブダチのように話をしてしまって……あんなに偉い方だったのですね……なんて客席(実はボクらはスタンディングでした)から思ったりしました。その収録の合間に交わされた初来日のPFMのステージの話を横で聞いているのは悔しかったですよ。どんな内容だったかはほとんど覚えていません(失礼なヤツだなあ)けど、ステージが素晴らしかったということはヒシヒシと伝わってきました。PFMの来日直前、秀五氏に「チケットを買うけど、兄貴も行かない? 」なんて言われたのを今でもハッキリ覚えてますが、ちょっと生意気盛りだった当時のボクは「プログレは卒業したから行かない」と、つれない返事をしたものでした。2人の会話を聞いていると、その時の自分のバカさ加減に腹が立つのを通り越して情けないぐらいでした。

 90年代にプログレへ復帰してから、ELPやらイエスやら、クリムゾンにルネッサンスにキャメル等、ボクの大好きだった往年のバンドに加えて、当時アルバムだけは買ったけど好きになれなかったマグマ(今は大好きです)や当時は知らなかったバンコまで、色々なバンドをライブで見ることができました。アップ・トゥ・デイトなところでは、アネクドテンやフラワーキングスなんかも見に行きましたっけ……。だけど最も見たかったのはやはりPFMでした。90年代中盤に色々なバンドが再結成される中、PFMは再編しないのかなあ……なんて思っていたらオフィシャル・ブートレッグの形で4枚組のライブがリリースされ、その後願い通り再編しオリジナル・アルバムの製作まで始めるじゃありませんか!
 確かに、再編後のニューアルバムはお世辞にも「どプログレ」とは言えませんでした。イタリア・ソニーから発売された「Ulisse」は、往年のイタリア大物バンドが再編してニューアルバムをリリースすると、どうしてポップスになっちゃうので
しょう? という流れの1枚という感じのアルバムでした。ニュートロルスも、バンコも、何だか期待をはぐらかしてくれているような……。それに比べれば、ムゼオ・ローゼンバッハやバレット・ディ・ブロンゾは、プログレハードを吸収したような現在形のプログレを表現しているようで評価できます。しかし今度は彼らがそういう方向に向くと、かつてイタリアのビニールマジック・レーベルから90年代にデビューしたカリオペやイル・キャステロ・ディ・アトランテみたいな音になっちゃうのは何故なのでしょう?(そういえば、彼らの新譜は出なくなっちゃいましたけど解散しちゃったのかなあ。ボクは嫌いじゃなかったんだけどなあ……。)似たような楽器編成で構成されているためなのでしょうか、それとも……。しかしデウス・エックス・マッキーネみたいな個性的なバンドもイタリアから登場している現状を考えると、それだけとも思えませんしねぇ……。一つ言えるのは、前出の2バンドのフェバリットバンドがムゼオだったりセミラミスだったりするワケで、ひょっとすると現在進行形の楽器編成でそうしたちょっとオドロオドロしいプログレをやると彼らのようなサウンドになるというのが正解なのかも……。確かにデウスの場合は個性的なボーカリストとヴァイオリンがフィーチャーされていますし、それだけでも個性的になる要素は十分ということではありますね。

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 さて、横道に逸れましたけど……PFMでしたね。彼らのオリジナルアルバムは、ポップなサウンドに彩られてしまっていて、どうかなあという気にさせられますけど、最近のライブを聴いてみたところでは全盛時代の楽曲をやってくれているようです。「www.pfmpfm」というちょっと変わったタイトルのライブアルバムではどうやら、往年の楽曲を惜しげもなくプレイしているとか……ボクは購入していないので、曲名などの詳しいことをお知らせできないのが残念ですけど……。「幻の映像」や「甦る世界」の楽曲をやっているとか……。それって正にボクの大好きだったPFM! ホントにそれらを演ってくれるとしたら、ボクが見逃した「幻のライブ」を見る夢が実現するってことじゃないですか……。
 何とPFMの今回の来日は初来日から26年振りの来日になるということで、オリジナルアルバム(世界リリースでの)通算3作目に当たるあの「チョコレート・キングス」リリース前後の来日だったとのことです。ライブでプレイされた楽曲も同作を中心という「ライブ・クック」のリストに近いモノだったようです。今回は再編アルバムが2枚出ていますので、当然そちらからもピックアップされるでしょうが、ボクの期待は何と言っても「幻の映像」からのものをということになります。「人生は川のようなもの」〜「セレブレーション」〜「幻の映像」という流れで再現してくれないもんでしょうか? そしたら、ボクは泣いちゃうかも知れないなあ……。

 ここでひとつ残念なのは、来日メンバーにマウロ・パガーニの名前がないことです。今回の来日はフランツ・ディ・チョチョ(ボーカル/ドラム)、フラビオ・プレモーリ(キーボード)、フランコ・ムッシーダ(ギター)、パトリック・シバス(ベース)、ルチオ・ファブリ(ヴァイオリン/フルート)、ロベルト・グァルド(ドラム)というほとんど「スオナーレ・スオナーレ」の編成というものです。(あの名作「ミス・ベーカー」もこんな編成だったかな?)確かにマウロ・パガーニの穴はルチオ・ファブリが埋めているんですけど、彼の参加したアルバムには余り良い思い出がないので、どうも腰が引けちゃうんですよね。それにマウロ・パガーニへの幻想が膨らんでしまうのは、彼が参加してPFMというバンドの骨格が固まったという結成当時の逸話と、彼の脱退と共にPFMの作品性が著しく下降してしまったという現実の2点に尽きます。正直言って、「甦る世界」(邦盤2nd)と「チョコレート・キングス」(邦盤3rd……ライブクックは除外)を比較すると、2ndから3rdを比較してみると明らかに3rdではPFMの持っていた作品の幻想性は激減し、クラシカルだった楽曲もよりブリティッシュ・ナイズされたというか普通のロック色が強くなってしまいました。3rdではまた、ボーカルにアクア・フラジーレのベルナルド・ランゼッティを迎えて、バンド的には意欲満々という感じだったのでしょうけど、ベルナルドのボーカルは当時個人的にあまり好きじゃなかったので、どうしてこんなボーカルを入れたんだとガッカリしたものでした。彼のボーカルってピーター・ガブリエルのコピーっぽいところがどうもねぇ。(もっとも当時はピーター・ガブリエルのボーカルも「好き! 」って感じじゃなかったですけどね。今では何でもないけど、あの当時はクセがあり過ぎたのかなあ……。当時ジェネシスのアルバムはプロダクションがどれも引っ込んでいるためか、すごく地味な印象があって……。)むしろ前作までの押さえ気味のムッシーダやパガーニのボーカルの方が好みでした。スオナーレ以降、何故かチョチョがリード・ボーカルを取ってますし、本人も自分のことを「フィル・コリンズだ」といってるみたいですけど、当時ガブリエルが抜けたコリンズのボーカルも偽物臭くて好きじゃなかったように、チョチョのボーカルも本人が言うほど凄くはないと思うんです。チョチョも悪くないけど、80年代のライブ・ビデオ(70年代後半だったかな? )で見せる悪のりは何かボクの思っているPFMとは別のバンドみたいですし、そういうショーマンシップは止めて欲しいという願います。(それとは対照的に、同ビデオの最後の15分位にデビュー間もないPFMの白黒のテレビ・ライブが収録されているのですけど、これがスゴイ! みんな、少し憂いを帯びていて日本盤でのイタリアデビュー・アルバムで日本盤では「幻想物語」からのナンバーを……確か「何処で……何時……」だったと思いましたけど……をやってるんですけど、アルバムとは多少違ったアレンジで聴かせてくれて、これは感動ものでした。やるのだったら是非、こちらの乗りで演ってくれることを願うばかりです。)

 しかしマウロ・パガーニが脱退した次作「ジェット・ラグ」は、完全にクロス・オーバー方面に行ってしまいましたもんね。彼らのインタビューを見ると、アメリカで活動している間に見たマハビシュヌ・オーケストラから影響を受けまくっていたみたいです。しかし楽曲自体は地中海っぽくって、マハビシュヌのようなアグレッシブなジャズロック・サウンドではないですね。今聴いてみると、この辺も十分に傾聴に値しますけど、幻の映像のサウンドを求めていたリスナーはそっぽを向いてもしょうがないかなあ……。アレアとかを聴いて耳を慣らしてから同作を聴くと、違和感がないというか……そこら辺から受けた刺激がサウンドに影響してるのかなという感じもしないではありません。どうせなら、アルティから影響されてくれた方が良かったかなと個人的には思いますし、彼らにはそっち方面の方が合っているように思います。(アルティはジャズロックなんて言われながらも、結構プロダクションが凝っていますしメロトロンもフィーチャーしていて、幻の映像から変遷しても違和感がありませんよね。また彼らがジャズロックとの融合を目指すなら、フェスタ・モビーレやルスティケリ・エ・ボルディーニみたいなクラシカルでアグレッシブなジャズロック的なアプローチもあるようなバンドも、良いお手本になったと思うんですけどネェ。)PFMの全盛時代の楽曲群のコンポーザーは、プレモリやムッシーダがクレジットされています。これだけを見ると、ことメロディーに関する限りパガーニが脱退した影響は無いはずなんですけど、実はアレンジ面で果たしていた貢献度は計り知れなかったのではなかったのか……というような幻想は消えることがないのです。

 しかし取り敢えず、あのPFMがボクらの前でライブをやってくれるチャンスが来たことを素直に喜ぼうではありませんか! 日本のプログレッシャーは全員必見です。通常、以外とプログレのライブはエンターティメント性に乏しいため、反復的な楽曲の多いライブは結構辛いんだなあ……と色々なライブを見てわかってきました。前出のチョチョじゃないですけど、ライブだからお客さんをパフォーマンスで楽しませようと思う(そういえばそういうタイトル名のアルバムがPFMにもあったなあ……プログレがそっち方面で楽しませようとするからおかしな事になっちゃうだよ! )と、演奏内容とライブとのバランスが取れなくなっちゃう傾向にあるようです。プログレの場合は、「有無も言わせぬ」テクニックでため息を付かせるか、やはり楽曲の展開によって涙ぐませるようなものが楽しめるようです。かつて最強のライブバンドだったELPが以外と地味で、楽曲的にクラシカルで大人しい印象のあるルネッサンスが実は壮大でリスナーを引き込ませるライブだったのが忘れられません。バンコなんかは、インストルメンタルが多いにも関わらず聴衆を引き込むパフォーマンスに優れていたのも以外でした。楽曲が中道というか、ロックに近い楽曲にプログレの要素を入れているようなバンドは、アルバムを聴き込んでいないと間奏部で楽曲の差異が感じられないため、ズーッと同じ曲をやっているような錯覚に陥って眠気に誘われたりします。ボクのようなプログレ好きには、曲展開でハラハラドキドキさせて押しと引きでウットリして、壮大な展開で引き込ませる……というようなライブが最もはまります。今回のPFMは、楽曲的にもテクニック的にもそれが出来る理想のバンドなので、どうかアリスとか(けしてアリスが悪いというのではないですけど、あのノリって絶対PFMには変でしょ?)のような手拍子系のノリにならないでじっくり聴かしてくれる系でお願いしたいです。

 さて、ライブの日程は5月10日11日クラブチッタ川崎です。両日とも600席限定ということなので、知らなかったリスナーはチケット・ピアかローソンに急げ!(でも、もう完売しちゃったかなあ。) 



ロジャー・ウォータース来日
プログレ好きでロジャー・ウォータースを知らない人っているのでしょうか? 一応知らない人は、「夜明けの口笛吹き(邦題)」か「ウマグマ(邦題)」のジャケットを見て下さい。一番顔がゴツゴツしてる顔の長い人がロジャー・ウォーターズその人です。ボクは昔、「ウマグマ」のジャケットのメンバー写真を見ては「うわっ、こいつ、フランケンシュタインみたいだ」と思ったのが、その人ロジャー・ウォータースです。初期からピンクフロイドを引っ張ってきた「アイ・アム・ピンクフロイド」な方で、ピンクフロイドのいわゆる「トータル・コンセプト」ものはこの人の構想というか思いこみで作られたみたいです。特に有名なのが「ウォール」でピンクフロイドを脱退していながら彼単独でウォールのライブなんかもやっちゃっているという……傍目から見るととてもわがままそうな人……ですね。

 それで、ロジャー・ウォータースのライブが3月下旬に行われます。最初は「ボクもライブといってもウォータース単独だろ? 」と思っていたのですが、最近のウォータースはかつて犬猿の仲だったかつてのフロイドの仲間たちとも仲直りをしたようで、昔のフロイドの全盛時の楽曲をバンバンやるようになったらしいのです。まあ、カベを壊したり、ブタを飛ばしたり……のような伝説のフロイドのライブの再現とまでとはいかないでしょうが、きっと派手好きなウォータースのことですからきっと何かやってくれるんじゃないかと期待してるんですけど……。
ウォータースさん、頼みますよ!



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