つづき

 レ・オルメ/包帯の男
 レ・オルメは、イタリアン・プログレのリスナーであれば今更説明の必要がないユーロロック界の超メジャーバンドです。本作はそんなオルメの4thアルバムにあたります。かつてフィリップスより日本盤も発売された「包帯の男」は、確かにオルメを代表するアルバムの1枚といえましょう。冒頭からムーグをリード楽器に畳み込むようなキーボードトリオ・サウンドはまるでELP。実際、キーボード・プログレ然としたオルメ・サウンドは本作から始まるということで、ボクも本作以降しかアルバムを持っていない(逆に本作以降はほとんど持っているかな? )のですが、それ以前のアルバムが気になってしまうほど完成度も納得できるものです。キーボードトリオのプログレバンドは色々ありますして、イタリアにもラッテ・エ・ミエーレやトリアーデ等々ありますし、ドイツのトリアンビラットを筆頭にELPに影響を受けたキーボードトリオは沢山あります。その中でオルメの良さとは何かと考えると、それは彼らだけが持つ独特の雰囲気のような気がします。ブリティッシュを意識していたのか? くぐもった音が特徴的なのですが、どうもブリティッシュとは音の質感が違うように感じます。だから彼らのアルバムは1聴してオルメだとわかります。インスト部は結構攻撃的なパートで、ドラムとベースにメインのキーボードが畳みかけてきますが、ボーカル部は一転してとてもセンシティブ。ELPほど多彩な楽器の使い分けはないもののユーロロックとして一級の出来映えを誇ります。


 レ・オルメ/フェローナとソローナの伝説

 これはレ・オルメの通算5枚目にして最高傑作と呼ばれています。本作によってオルメは、ピーター・ハミル(ご存じバンダーグラフのリーダー)の口利きによってメジャー・デビューを果たし、世界進出までしてしまいましたし、かつてLP時代には日本盤も発売されたとか……。そんな「フェローナとソローナの伝説」ですが、多分CDでの日本プレスははじめてのことになるはずです。前作から更に進歩したサウンドと楽曲構成は見事というしかありません。これも是非ライナーノートを見てみたいところですが、トータルアルバムになっているのは間違いのないところです。バンド編成が変わっているわけではないのに、何故か?薄く感じてしまったサウンドプロダクションが若干不満な前作とは比べものにならないほど、音圧を感じるようになったのは彼らの技量が格段にアップしたからなのかも知れませんが、それ以上に構成力が高くなったからのような気がします。



 ロカンタ・デッレ・ファーテ/妖精+2

 77年に「イタリアの最後の輝き」などのキャッチコピーで騒がれたロカンダは、そのキャッチが大げさとは思えない本当に美しい音色を奏でてハートに染みるバンドです。彼らはツイン・ギター、ツイン・キーボード、ヴォーカル、ベース、ドラムという7人(フルートは誰がやってるのかな? )編成で唯一のアルバムを残しました。(実は近年、オリジナル・メンバーの数人で再結成し、ニュー・アルバムをリリースしていますが、イタリアン歌ものプログレとしてボクの愛聴盤になっています。)本作は特にアコースティック・ピアノの音色が全編にフィーチャーされていて、それがとても特徴的だと感じます。ムーグやシンセによるオーケストレーションも多用しているにも関わらず、アコースティックなイメージが強いのも、多分にこのアコースティック・ピアノの音色の印象が強いからに違いありません。とかくキーボードのイメージの強いロカンダですが、随所に顔を出すたおやかなフルートがまたいい味だしてます。これでオーケストレーションがメロトロンだったら、更に良いアルバムになってたんだろうなあ……なんて、無い物ねだりをしてしまうほど素晴らしいアルバムです。(3曲目の中間の間奏部なんかは、まるでPFMみたいですし……。)更に敢えて注文をつければ、(どの曲も良くできているのですが)大胆な曲毎の落差がないことでしょうか?リズムなりメロディーなりを曲毎に強引と言えるほど差別化してくれれば、もっと印象的なアルバムになったのになあ……なんて、贅沢言ってますよね、すいません。言い忘れましたが、彼らはとてもテクニカルな演奏も得意で、インタープレイも随所に楽しめたりもしますよ。



 イル・バレット・ディ・ブロンゾ/YS(イプシロン・エッセ)
ブロンゾを知らないプログレッシャーっているのかなあ……と考えてしまうほど、ブロンゾの「YS」は知名度のあるバンド及びアルバム(のはず)です。怪しげな女声のスキャットと、それに続くまるでチャーチオルガンのようなハモンドで幕を開ける同作は、まぎれもなくユーロロックの頂点に輝く1枚であるという事に異論を挟む人は少ないはずです。ミステリアスなメロディーとパラノイア的な切り返しは、実質的バンドリーダーであるジャンニ・レオーネの音楽的素養の高さを示すものと思って間違いないでしょう。1曲目終盤のスピーカー左から流れるテクニカルなオルガンと右からの流麗なアコースティックピアノのインタープレイとドラム、ベース、ギターが切り込んできてバンド一体になって畳み込む様はロックという音楽の最高の醍醐味の瞬間といっても過言ではありません。アルバム全編に渡って貫かれた荘厳な雰囲気が、異教的な禁断の秘儀を表しているかのようで、ボクのようなファンタジー好きにはたまりません。芸術としても1級品であると断言できます。どこか、エッグにも通底するブロンゾですが、クラシカルであるという1点においてボクはYSに軍配を上げます。目眩がするほど怪しく美しい同作、聴いていない方は是非この機会に聴くことをお薦めします。(もちろんメロトロンも使いまくってますとも。)

 I・R・R・S  まだ続くよ →



INDEX HOME