イタリアン・ロック・レジェンド・シリーズ

 ここのところのロック系の紙ジャケ再発ラッシュは凄まじいものがありますね。我々のテリトリーであるイエスやフォーカス(2枚が延期されましたが)も無事に発売されました。10月(31日だそうです)には待望のジェスロ・タルも発売予定です。そして、ついにイタリアンロックが紙ジャケ日本プレスで再発される運びとなりました。その名も「ストレンジ・デイズ・プレゼンツ
 イタリアン・ロック・レジェンド・シリーズ」ということだそうです。はつばいされるのは以下のようなタイトルです。

デ・デ・リンド/流離人(さすらいびと)
ジャンボ
ジャンボ/DNA
ジャンボ/18歳未満禁止
レ・オルメ/包帯の男
レ・オルメ/フェローナとソローナの伝説
ロカンタ・デッレ・ファーテ/妖精+2
イル・バレット・ディ・ブロンゾ/YS(イプシロン・エッセ)
ラッテ・エ・ミエーレ/受難劇+1<br> ラッテ・エ・ミエーレ/パピヨン+1
イビス/サン・シュプリーム
イビス+1

 以上12枚、無事発売されることを祈ります。さて、それではそれぞれのアルバムについて解説していくことにしましょう。

 デ・デ・リンド
 「デ・デ・リンド」から解説するのもなんですが……順番の都合上、このアルバムからはじめることにしましょう。同作は、エンサイクロ本によると72年の作となっています。(手持ちのCDには制作年が記載されていません。)かつてマーキー等のプログレ誌では、特に好意的な書かれ方もされていなかった「デ・デ・リンド」でしたが、ワールドディスクのセットセール・リストだったかで「典型的なイタリアンプログレ」的な書き方がされたことから、購入に至った1枚でした。実際、購入後に聴いてみた第1印象はマーキー誌の扱いが不当であるというものでした。確かにプログレッシャー(シンフォ・ファン)の求めるダイナミックなスケール感というものは不足しているかも知れませんが、イタリア然としたリリカルな暖かみが味わえます。インタープレイ的な緊張感の不足を指摘する向きもあるかと思いますが、イタリア的なムチャとも言える強引な展開はブリティッシュロックには味わえない醍醐味といえるでしょう。同バンドは、ギター・フルート、フルート・サックス・キーボード、ボーカル・アコースティックギター、ベース、ドラム・ティンパニーの5人編成のバンドのようです。ギターとフルートが特にヘビーなバンド一丸となった冒頭部から、アコースティックギターとフルートがリリカルな中間部へ……との流れが見事な1曲目といい、とてもイタリアン・プログレらしいアルバムといえましょう。はじめて、イタリアンプログレを味わうアルバムに適しているか? と問われれば、「? 」マークを付けざるを得ませんけれども、PFMやバンコ、ニュートロルス等の大物を通過したリスナーが次に手に取るアルバムとして不足しているとも思いません。ボクの場合は、「どうかなあ」という不安を持ちながら購入したアルバムだったこともあって、当時とても得した気分になった一枚だったことを思い出します。


 ジャンボ

 ジャンボは特に3枚目が名作として名高いプログレバンドです。今回、その3rdも紙ジャケ化されますが、本作はそのバンドの1stアルバムと言うことになります。本作を「純粋なプログレか?」と問われると、ちょっぴり複雑な気持ちになってしまいます。ジャンボは1stを聴く限りでは、R&Bが出自のバンドではないかと思わせます。特に1曲目の引きずるようなギターとハーモニカにダミ声のボーカルは、正しくR&Bのそれです。それではこのアルバムがプログレッシャーにとって「全くテリトリー外」かというと、そうとも言えないのが難しいところなんですねぇ。同バンドは作を追う毎にプログレ色が強くなるのですが、1stのB面に当たる5曲目以降は結構プログレの発芽を思わせる演奏や展開が端々に見られるからです。以下に触れることになる2ndや3rdが気に入ったリスナーは、結局1stにも興味を持たざるを得なくなるアルバムでもあります。(実際に、ボクもそうやって購入に至ることになりました。)きっと2ndや3rdを耳にしたあなたは、気になって仕方なくなるはずですよ。60年代後半の初期ブリティッシュロックの「何でも有り」の実験的融合ロックが楽しめるリスナー向きかも知れません。



 ジャンボ「DNA」

 同作はジャンボの2ndです。まだまだ歌もの然とした風情ではありますが、もうここまで来ると立派にプログレと言えるのではないでしょうか? 3rdのダイナミックなシンフォサウンドと比較すると、見劣りを感じるのも仕方ないところですが、その分イタリア的な素朴さはこちらの方が勝っているともいえます。フルートとピアノのリリカルな味わいがたまりません。ジャンボというと絶対的に3rdといわれていたため、1stや2ndを購入に躊躇したしたボクでしたが、試しに買ったこの2ndはボクにとって成功でした。定評があり過ぎる作品は「良くて当たり前」というのがどこかにつきまといます。その点、今ひとつの評価の作品や無名作に「当たり」があると、無性に嬉しくなるのがコレクターの性ですよね。そんな楽しみを与えてくれたのがジャンボの2ndだったのです。



 ジャンボ/18歳未満禁止

 今回の紹介で何度も登場するジャンボの3rdは、正しくイタリアン・プログレを代表するアルバムの1枚といえましょう。完成度、ダイナミズムの点で文句の付けようがありません。同作は日本発売されるのは初めてなので、ボクの書いていることがひょっとするとライナーノートで否定されてしまうかも知れませんが、ゲストの多さなど色々な点でイ・ジガンティの「犯罪の歌」を想起させたりもます。表現されている音楽は違うので、アレと同じなんだと早合点されると困っちゃいますけどね。何しろ同作のオリジナルは、PFMやオザンナのパレポリに比肩するクオリティで、イタリアン・プログレの頂点をなすアルバムですもんね。誰が聴いても超一級の同作に比べると、ジャンボの方がクセみたいなものが強い分、不利といえましょうか……。
ジガンティ程の重厚感はないもののヴァイオリン等各種アコースティック楽器が要所に配されて、とても聴き応えのあるアルバムとなっています。




 I・R・R・S!! →



INDEX HOME