チェックすべきはこれだっ!
6月にはベルアンティーク・レーベルよりクエラ・ベッキア・ロッカンダの1st「same」と2nd「歓喜の時(かつては「歓喜の瞬間」というタイトルで出てました)」、チェルベロ「メロス」、アフター・クライング「ブートレッグ・シンフォニー」、ラ・トッレ・デル・アルキミスタ「錬金術師の塔」リトル・トラジディーズ「ポーセリン・パヴィリオン」等々が発売されました。クエラは持ってない人は必携のいずれ劣らぬ傑作で、特に2ndは聴いていなければイタリアン・プログレは語れません。数多いイタリアの名盤中でも屈指の1作です。チェルベロはボクの大好きなアルバムの1枚。オザンナ一派のアルバム中でも、パレポリと共に最高峰に位置します。イタリアの陰の代表作として大推薦です。(しかし、これがベルアンティークより発売されるってことはキング盤が廃盤状態って事ですよね。うーん、最近のキング・レコードはどうなっちゃてるんでしょう。)アフター・クライングは現在進行形のプログレバンドでは最高峰に位置します。テクニックも楽曲もアレンジも完璧! (出来たらオリジナルアルバムから聴いて欲しいですけど。)今回はオーケストラとの競演ライブとのことなので、アフター・クライングのファン向けでしょうか? アルキミスタはイタリアのニューフェース。ボクは試聴で非常に気に入った超期待バンド。ビンテージ・キーボード(ハモンド、メロトロン等)を駆使して往年のイタリア然とした熱いイタリアン・プログレを演じます。リトル・トラジディーズもニュー・カマー。キーボードとギターのディオのようですが、とてもそれとは感じられない厚みのあるサウンドで、ロシアらしいクラシカルなサウンドを有しています。アフター・クライングあたりを好むリスナーなら問題なく楽しめるでしょう。


特にお勧めはジョーンジー
6月下旬にビクターから発売されたドーン・紙ジャケシリーズはみなさんチェックされましたでしょうか? 先にフループやタイタス・グローン、トレーダーホーンといった驚きの紙ジャケ再発の第2弾ということになるこのシリーズ……。今回はケストレルに、ジョーンジー1st「ノー・オルタナティブ」2nd「キーピング・アップ」3rd「グローイング」クワイエット・ワールド「ザ・ロード」が再発されますが、どれも必聴に値します。まずケストレルですが、ポップというレッテルが災いしてか? どうもプログレ・リスナーには敬遠されているように見えます。確かにコーラスワーク等ポップさはありながらも、プログレッシャーを満足させるクオリティーを有したアルバムですので、前回の国内発売を買い逃した未聴の方には是非お聴きになることをお勧めします。

 しかし何と言っても大推薦なのがジョーンジーの3枚です。ジョーンジーは2ndの「キーピング・アップ」があまりにも有名な名バンドです。2ndの何が有名かというと「キングの宮殿ばりのメロトロンの洪水」で日本では名を馳せています。確かにアルバムの1曲目冒頭から惜しげもなくメロトロンがリード楽器として使われたり、正にメロトロンアルバムと言うに相応しいアルバムでしょう。とにかくストリングスにとフルートにと使いまくっています。更に新加入したアランボウンの哀愁のトランペットが泣かせてくれます。コーラス・ワークなんかは多少ムーディーブルースっぽくもありますし、この1曲だけでノックダウン状態。続く2曲目のオープニングはまるで牧歌的にしたエピタフ状態というか……メロトロンを大々的にフィーチャーした「風に語りて」というか……。3曲目はトランペットとアコースティックピアノのハーモニーがメランコリックに響き、ブレイク後それに続く多少ファンキーなボーカル部との対比が面白く、さらにブリティッシュロック然とした中間部に展開して……というように、全ての曲が聴き応えのある素晴らしいアルバムです。
 5曲目(B面1曲目)は、異色です。まるでリザード期のクリムゾンのようなジャージーなインプロまで披露してくれるなど、ジャズ色が色濃く出ています。しかしその他の曲はブリティッシュでメランコリーなA面を踏襲したものとなっています。いずれにしても、基本的にクリムゾンをイメージさせるアルバムではあります。プログレファンであれば躊躇無く入手されるべきアルバムです。
 このように、(かつて日本発売されていただけのことはあって)ジョーンジーのセカンドはクオリティの面で申し分のない作品です。「それと比較して、1stと3rdはどうなんだろう? 」と、かつて日本発売されなかったことからも懸念される向きもあるでしょう。確かに2ndはジョーンジーの頂点といえる作品ですが、やはりこれだけのアルバムを作れるバンドによって作られた作品ですから悪かろうはずがありません。
 1stも3rdもそれぞれに高いクオリティを有します。1stは2ndよりも荒削りで、2ndとは趣が多少異なる印象を受けます。よりブリティッシュロック然としたサウンドを有しているといっていいでしょう。しかしそれはあくまでも2ndと比較した場合のことであり、派手さの面では2ndに及ばないとしても優れた作品であることは紛れもありません。3rdはジャズロック的アルバムになっていて、2nd好きにとってはそこが不満ともなるかも知れませんが、ボルテージはけして下がっていません。その後ジャズロック界に転身するアラン・ボウン色がより鮮明に出た作品と言うことができるかも知れません。結局ジョーンジーは2ndを頂点に、どのアルバムもクオリティが高くプログレファンとしては迷わず押さえたいところです。
 そして最後に登場するのがクワイエット・ワールド。LP時代の最大の売りはジェネシスのスティーヴ・ハケットが参加していることだったようですが、プログレ・ファンが本当に注目すべきはオーケストラが前面にフィーチャーされていることだといって良いでしょう。多少トラディショナルっぽいメロディーを交えながら、ファゴットのソロがメランコリックに響いたり、ストリングス・オーケストレーションが盛大に鳴り響く等、聴き所は満載です。リマスターによってサウンドクオリティも向上(実はまだ紙ジャケ盤は聴いていないんですけど、タイタス・グローン並のリマスターがなされているとしたら凄いことになってると思います)していることからいって、既存盤をお持ちの方も買い換えせざるを得ないでしょう。

 取り敢えず紙ジャケ再発も、東芝の数タイトルを残すのみとなりましたので、ここで収集した多くのアルバムをゆっくり楽しみつつ、次回の再発のためにお互いパワーをため込んでおくことにしましょう。(実はボクは、ジャズにまで手を伸ばしたために、全然減ってないんですけどね……とほほ。)それではまた、来月までごきげんよう。



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高橋 宏之



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