祝!フォーカスの紙ジャケ再発!
前述の通り、ついに待望のフォーカスが国内プレスによって「しかも紙ジャケ」で再発されることになったようです。かつて東芝だったフォーカスですが、今回はビクターから再発されるということなので、色々あったんじゃないでしょうか? 東芝さんもやっと、ジェネシスやピンクフロイド及び同バンド周辺の紙ジャケ再発を手掛けていましたから、もしかしたらとは思っていたのですが……レーベルが変わってしまったのには驚きましたね。(しかしビクターさんの紙ジャケシリーズはコスト的には若干割高なんですが、作りは非常に凝っているし、リマスターとかを積極的にやってくれるので安心して購入できます。)

 フォーカスは、このプログレの部屋でも「お問い合わせ」が多いバンドだっただけに素直に喜びたいと思います。(もちろん持ってるんですけど……。)最近外盤が再発されたり、マーキー・レーベルより国内発売されたりということでお持ちの方も多いんじゃないでしょうか? そんなことになる前に国内プレスでリイシューされていて全然おかしくないバンドだったんですけど、まあ、こういうことってよくあることなので事故だと思うしかありませんか……。

 ちょっと愚痴ってしまいましたけど、やはりフォーカスの再発は嬉しいです。というのも、フォーカスには凄く思い入れがあるからなんです。よくプログレの専門誌には書かれていましたけど、フォーカスはイギリスやアメリカ以外で初めて本格的に売れたロックバンドでした。(プログレバンドなのかなあ……。)確か、本格的にイギリスへ上陸した最初の年のレディング・フェスティバルでの演奏が伝説化してましたよね。その年のビルボード誌では、最も期待されるバンドのトップに選出されたり、その活躍はあまりにも有名だったはずです。
 ボクのフォーカスとの最初の出会いはテレビだったと記憶します。NHKだったかで、フォーカスのライブを見たのだったと思うのですが、何と言っても「悪魔の呪文(フォーカス・ポーカス)」という1曲につきました。タイス・ファン・レールというキーボード&フルート&ボーカルが首を振りながらヨーデルのように

♪「ロイロロ、ロイロロ、ロッポンッポン(オイロロと聞こえる人もいるとか? )」

と歌い上げる様は圧巻でした。この1曲でフォーカスにぞっこんという感じでした。この曲が余りに印象が強いので、同曲の入っている「ムービング・ウェイブス」という2ndアルバムが、ボクにとっては圧倒的にナンバー1でしたね。他のアルバムも聴いたには聴いたのですが、同アルバムを越えるアルバムはなかったというのが当時にボクの評価でした。だから、5th「ハンバーガー・コンチェルト」時の来日の頃はフォーカスに興味がわかず、秀五氏から誘われながらライブを見ることもありませんでした。(何ともったいない。)

 しかし今あらためて聴いてみると、フォーカスの魅力は「悪魔の呪文」だけによるものではなかったことがわかります。フォーカスはやはり日本に初めて紹介されたユーロロック・バンドであっただけのことがあったのです。ブリティッシュのロックバンドとは一線を画した味というのでしょうか? そういうものがあったことに、あらためて驚いたりするのです。ブリティッシュのバンドの持つニュアンスとは明らかに違う響きが、フォーカスにはあった気がするからです。
 違う響きとは「何だ? 」と問われても、今のボクに即答できる答えは持っていません。しかし敢えて考えてみると、その答えは1stや2ndよりも3rdや5th(4htは「フォーカスアット・ザ・レインボー」というライブ)、またその後の彼らのソロアルバム等に隠されているような気がします。初期のフォーカスはブリティッシュ勢に混じっても違和感のないロックをプレイしていますが、人気が出てきて好きな表現が許されるようになると、よりクラシカルな表現を追っていくようになります。フォーカス3もハンバーガー・コンチェルトもクラシカルなニュアンスは強くなってきます。さらに彼らのソロ・アルバムにはクラシックの表現が露骨に存在します。
 考えてみると、クラシックとはユーロに根付いた音楽であることは明白で、イギリスよりもヨーロッパ大陸で強い影響力を持っていたのではないでしょうか? (そのことはフォーカスの出身国であるオランダよりもイタリアやチェコ等のバンドに顕著だったりするとボクには感じられるのですが……。)そんなテイストが非常にバランス良く配され、更にジャズやハードロックのイディオムも融合して表現されたのが、フォーカスではなかったのか? と考えてしまうのですがどうでしょう。

 フォーカスの最高峰は何と言っても2nd「ムービング・ウェイブス」であると断言できます。初めてフォーカスを体験するなら是非ここから味わって欲しいです。1st「イン・アウト・オブ・フォーカス」は完成度の高い2ndと比較すると、多少荒削りに感じるでしょう。しかしそこがロックバンドらしかったりもして、けして大きく劣るアルバムではありません。3rd「フォーカスIII」はアナログ時代には2枚組の大作でした。シングルカットもされた名曲の誉れ高き「シルビア」を含んだ人気盤でもあります。しかし、当時は冗長さが耳についた記憶もあります。アルバム片面を費やした大曲「アンサーズ・クエッションズ・クエッションズ・アンサーズ」はクラシックを意識したものと思われますが……スコアライズされたというよりはセッションっぽいフィーリングが、どうも今ひとつと感じさせてしまったのかも知れません。そうしたことを足し引きしても、フォーカスを聴く上ではやはり外せないアルバムであることは確かです。4thはライブですが、フォーカスがあらためてライブバンドであることを教えてくれるアルバムです。2ndや3rdからセレクトされた曲のバランスも良く一気に聴き通せます。5thは3rdよりも更にクラシカル色を強く打ち出したと感じるのはB面全てを費やしたタイトル曲のためかも知れません。
と、ここまでがフォーカスの絶頂期で、これ以降はバンドの看板ギタリストであるヤン・アッカーマンがバンド活動よりもソロ活動に力を入れ始めたためか? バンド自体の結束力は弱まり、実質的なラスト作「マザー・フォーカス」とレア・トラックス集ともいえる「シップ・オブ・メモリーズ」をリリースして解散します。

 今回の紙ジャケによって、これまで未聴のプログレッシャーにフォーカスの素晴らしさを是非味わってもらいたいものです

PS:
 冒頭に書きました通り、ここのところ紙ジャケ再発で本当に凄いことになってますよね。こんなに大量のアルバムを、みなさんは買えてるんでしょうか? ボクでさえ、躊躇しちゃうぐらいですからね。(結局、買っちゃいましたけど。)最近、紙ジャケばかりを扱ってるもんですから、最近のプログレはどうなってるんだ! と思われている方もいらっしゃるでしょう。そこで、最近(といっても、ここ数ヶ月)発売されたモノでチェックすべきアルバムなどをまとめて扱ってみたいと思います。




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