村田さん お便りありがとう!

茶:村田さん
黒:ヒロ高橋

 ヒロ高橋様

 どうもです。

 期待にお応えいただき、アメリカのプログレ特集、ありがとうございました。

 いえいえ、どういたしまして。それよりも、ご返事が長いこと遅れて失礼しました。ゲーム・シナリオの追い込みとか、色々と重なりましてこんな時期になってしまいました。アメリカン・プログレの特集は抜け落ちてしまったこともあるのですが、多少のガイドラインにはなったのではないでしょうか? ボクもまだ勉強中なものですから……。そうそう、アメリカンプログレといえば、最近とっくに廃盤になっているかと思っていたSTYXの「ミラクルズ」を新譜で手に入れましたっけ! 彼らのプログレ期の黄金時代のアルバムの1枚だと聞いていましたので、購入できて嬉しかったですね。その他ラッシュなんかも買い集めてみたり……。プログレ道は奥が深いです。

 早速、聞きたいと思ったイーソス、カテドラルを例のディスク・ユニオンの通販で注文してみたのですが、「どちらも国内・国外盤とも廃盤のため入手不可です」、とのことでした。うーん、残念でたまりません。どこかで入手できないでしょうかねぇ……。

 少々しらべてみたのですが、どうやら……それらは今や廃盤となっていて、新譜での入手は不可能みたいですねぇ。どうしても……ということになると、中古市場で……ということになるんですが、結構レアになってしまっているみたいです。これらは発売されてから、しばらくたつのでやむを得ないのでしょうね。しかし最近は益々、発売されてから廃盤になるスピードが早まっているような気がします。まったく困ったモンですね。

 これまでにも、以前お便りの中でも話題に出したHAWKWINDの「The Worrier on the Edge of Time」は廃盤で入手不可と言われましたし。とっても欲求不満が溜まる今日この頃です。LEVIATHANがかなり気に入りました(Pavrov's dogも、ですけど)ので、ぜひアメリカものももう少し聞いてみたいと思いました。ところで、今回の特集の中のアトランティス・フィルハーモニック、リフト、バビロンはぜひ入手したいのですが、アルバム名を教えていただけませんでしょうか? またディスク・ユニオンに問い合わせてみたいと思います。
 高校生の頃、Happy The Manを友人が購入し、貸してもらったことがあるのですが、何かフュージョンみたい、というのが感想でした。その頃は「宮殿」、「原子心母」、「危機」、「スノーグース」といったシンフォに傾倒してたことがあったからかもしれませんが……。今聴くとまた印象は違うのかもしれません。あと、南米ものはまだ未聴ですが、あるプログレガイドブックにはBANANAの「影法師」、Sagradoの全アルバムは「涙なしには聴けません……」とか書いてありましたが、購入する価値はありそうでしょうか。「ちょっとまだ南米までは……」という怖いモノ見たさの気持ちです。歌詞はスペイン語なんでしょうか?タランチュラというのも興味津々です。入手可能でしょうかねぇ……。


 まずアトランティック・フィルハーモニックは「ATLANTIC PHILHARMONIC」は同名アルバムで「The Laser’s Edge/LE1005」です。リフトは「Caverns Of Your Brain」で「Syn−Phonic/SYNCD 1」です。バビロンも「Babylon」で「Syn−Phonic/SYNCD 18」になります。アトランティックとリフトは数年前に再販盤でしょうか……見かけた記憶がありますが、今はどうでしょう。バビロンはCDでのリイシュー自体が1999の暮れだったと記憶しますので、ひょっとしたらまだ手に入るかも知れません。また今回の特集では取り上げなかったファイアー・バレーやスタードライブはいかがでしょう?ファイアー・バレーはクリムゾンを脱退したイアン・マクドナルドがプロデュースしたバンドとして有名です。1st「Night On Bald mountain」と2nd「Two Too」の2枚を残したバンドで、1stはB面のタイトル曲「禿げ山の一夜」をハイライトに初期ジェネシスタイプのユーロロック的なシンフォニックタイプ。また2ndはよりイエス的なテクニカルなサウンドへと変わり、オーケストラの導入など、、大ひんしゅくもののジャケット(メンバーがバレリーナに女装したコミカルと言うよりも醜悪なジャケット)とは裏腹に、テクニカルでクラシカルなアルバムに仕上げています。それらのブートと思しきCDが、一昨年輸入盤で待望の発売! このCDですが、実は1stと2ndのカップリング盤で、2枚が一度に楽しめるお徳用盤です。盤お越しのためスクラッチ・ノイズ等が気になりますが、かつてLP時代に日本発売までされて両アルバムを聴けるだけでも幸せと思わなければなりません。一方のスタードライブはソニーより、アメリカン・ハードのリイシュー・シリーズとして1999年に発売されています。並み居るアメリカン・ハードに紛れ込むように発売された同名アルバムは実はテクニカル・キーボードプログレだということで、ボクはまだ聴いていないのですがとても期待しているアルバムです。多分、期待を裏切らないアルバムだと信じます。余談ですが、やはり同シリーズで1stと3ndが発売されているアンブローシアの、何故か? 国内発売が見送られている2ndはプログレのファンから見た場合最高作だとされているそうな……。今のところ輸入盤でしか発売されていませんが、国内発売も期待したいところです。ハッピー・ザ・マンは特に2ndにフュージョン色が強いです。洗練され過ぎているからでしょうか?けして悪いアルバムではありませんが、純正プログレを期待して聴くと肩すかしを食うかも知れません。バナナはアルゼンチンのプログレとして、ボクが最初期に聴いたアルバムの内の1枚です。プログレ色と南米色が適度にマッチして、ボクはお薦めします。アルゼンチンは非常に完成度の高いプログレバンドが多く排出されている印象が強い国なのですが、その中でも完成度が上位に位置するアルバムだと思います。アルゼンチンではミア、クルーチス、アラスといったところがトップクラスで、単発で発売されたブブやバナナもそれに比肩する完成度というのがボクのイメージです。(パブロ・エル・エントラドールというバンドも南米の哀愁が漂うリリカルな良質なアルバムですが……。)やはりバナナも、大分前にリイシュー済みなので今や手に入るかどうか? わかりませんが、購入可能ならトライしてみるのをお薦めします。タランチュラもボクはとても好きなアルバムです。洪水系のメロトロンを多用した正統的シンフォです。アルバムは2枚リリースしていて、絶対的に2ndがお薦めです。今は日本盤は廃盤ですが、Si−WAN盤が購入可能だと思いますよ。

♪♪♪

 ところで、話がコロコロ変わりますが(お約束の変拍子みたいですみません)、最近聴いたアルバムについてです(マニアの方からは、今頃遅い! と言われそうですね)。以前メールの中で出ましたENGLAND「Garden Shed」,KAYAK「See see The Sun」,SPRING「SPRING」,Alti + Mestieri「Tilt」をすべて購入し、聴くことができました。みな、とっても気に入りました特に、ENGLAND「Garden Shed」は浪人生の頃から思い焦がれてきたアルバムで、何と18年もかかって(トシがばれますね)、ようやく手にした時の感動と言ったら……。そしてサウンドですが、もうびっくりです。こんなグループがいたなんて、それを今の今まで知らなかったなんて、という気持ちです。3曲目で「笑っちゃうくらい」どこかの有名グループをパクったフレーズが出てくるのはご愛嬌として、(このヒト達、ほんとにイエスやジェネシスみたいなプログレがとにかく好きで好きでたまんない!   んだろうな)っていう音作りですね。もう、これ以上ないっていうほどのプログレ王道(かつての、馬場御大ご存命の全日プロのような)サウンドという感じで参りました。今やすっかり愛聴盤です。SPRING「SPRING」もかつてEncyclopedia of Europian Rockを読んだ浪人時代からの憧れでした。ちょと重く、やぼったい(?)感もありますが、メロトロンたっぷりの哀愁サウンドはドンピシャ、です。KAYAK, Alti + Mestieriはもう、何も言うことはないです。もう、1曲目からのめりこみました。すばらしいでクオリティすね。ほんと、聴けてよかったと思います。ご紹介していただいてありがとうございました。まだまだすばらしいアルバムがたくさんあるのですね。 最近、聴いてみたい、いわゆる「イタリアものの名盤」で、Locanda Delle Fate「妖精」とIl balletto dibronzo 「YS 」があるのですが、どんなんでしょうか? 高橋様のレコード評をご参考までにお聴かせ頂ければ、と思います。

 イングランド、カヤック、スプリング、アルティ・エ・メスティエリを聴かれましたか! いずれも、傾向は異なるモノの定評のあるアルバムですよね。ご紹介させていただいたアルバムが気に入って頂けてとても嬉しいです。イングランドやカヤックは、プログレど真ん中ですからねぇ……。リリースされる時期がもう少し違ったり、プロモーションのサポートが十分だったら……と思うと不運なバンドといえるでしょう。スプリングはRCAの2ndレーベル・ネオンから、キーフの変形ジャケットが有名なアルバムですが、多分当時はまったく売れなかったんでしょうね。牧歌的なオルガン・サウンドに洪水系メロトロンが印象的ですが、クリムゾンのように2台をマウントしたメロトロンという仕様ではなかったためか?意外と「メロトロンの壁」という印象にはなっていませんね。もちろんそういう編集がなされているんでしょうけど……。アルティは何度も書くようにボクの大のお気に入りです。あんなにメロディアスなジャズロックがあったのか! とうならされたモノです。それらが気に入って頂けたので、それらに関連したマメ知識を……。イングランドには当時、録音されながら発売されなかった2ndが存在しています。そしてその未発2ndも目出度くCDでは発売されています。プロダクションの問題なのか?1stよりも地味な印象もありますが、イングランドらしさは十分に保たれた秀作。1stが気に入られたなら是非試されてはいかがでしょう? カヤックも1stが気に入られたら2ndまでは両アルバム共に甲乙付けがたい必聴の出来です。是非、聴いてみて下さい。アルティも2ndまでは名作として名高い傑作アルバムです。よりテクニカルなジャズロック色は強くなりますが、1曲1曲は短いながら楽曲の良さは相変わらずです。2ndを購入した時は、最初ティルトを期待し過ぎていたため的確な判断が下せませんでしたが、今はボクの愛聴盤の1枚となっています。

 さて今回のご質問はロッカンダとブロンゾですね。ロッカンダはアコースティック・ピアノのリリカルな調べで始まる、とてもイタリアの哀愁を感じさせるアルバムです。このアルバム、一聴しただけで評価を下すのは早計です。整然としたイメージがあるため、そこにダマされると間違った評価を与えてしまう可能性があるからです。(それはボクです。ボクは同アルバムを購入して、聴いた時の印象が悪かったのです。後に何度か聴き直してみて、自分の愚かさを悔やみましたっけ。)とてもリリカルでありながら、テクニカルですし、楽器の使い方にも並々ならぬメンバーのセンスを感じない訳にはいきません。一見、音数が少なく感じますが、集中して聴くと、実はとても多くの楽器を駆使していることがわかります。しかもひけらかさない。楽曲の完成度といい、申し分ない名作です。きっと、いつまでも聴き飽きない大切な1枚となることと思います。
 ブロンゾの「YS」も素晴らしい。夕暮れのイタリアをイメージさせるリリカルで哀感漂うロッカンダとは対局にあるアルバムと言えましょう。怪しげな女声コーラスから浪々としたハモンドへ。そこへ古代ローマを思わせる男性ボーカルが……。YSは音楽でリスナーを異世界へと誘ってくれるかのような・・・不思議なサウンドを有した傑作アルバムです。とにかく尋常ではないキーボードの嵐。オザンナとはまた違った意味で異教感が充満しています。それでいてメロディアス。ジャージーなリズム・セクションの中、哀感のこもった縦横無尽のオルガンソロが続くなど……YSは唯一無二の存在です。きっと幾多のプログレを聴き込んできたリスナーでさえ「こんなアルバムがあったのか!」と驚嘆するに違いありません。是非、聴いてみて下さい。イタリアの奥深さをまたひとつ見せつけられることでしょう。

 すっかり(いつものように)長くなってしまいましたのでこの辺で。また12月分、楽しみにしております。

 すいません。もう2月号まで出てしまいました。どうか、これに懲りずにまた遊びに来て下さい。

村田 雅史

高橋宏之


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