先月、書こう、書こうと思っていながら、忙しさ等々の理由で書きそびれてしまった「プログレの部屋」。今月はまたまた合併号になってしまいました。2ヶ月分ということもありますので、その分ボリュームもアップしておおくりしたいと思います。



ほんと、忙しかったのです
7月はホントに忙しかった・・・ですね。色々あったもんですから・・・。そのためにプログレの部屋を書き損ねてしまったというのは、あんまり理由になりません。というのもボクは職業柄、文章を書くのは全く苦にならないからなのです。集中して考えないと文章が書けない人って多いと思いますが、ボクの場合は一応ゲームシナリオライターの端くれでもあります(他にゲームデザイナーだとかプロデューサーだとか経営者も兼任している訳ですけど)から、書いているのと考えているのはほとんど同時みたいなものです。どんな流れにしようか?とか、シナリオに凝らす趣向の部分に悩んだり考えたりはしますが、その辺の骨子さえ浮かんでしまえばこっちのもので、内容の面白いものになるかどうかは「書く前の部分」をどれだけ詰めておけるかが勝負なのです。実際のところ、書くことは勝手に身体がやってくれる感じでないと面白いシナリオは書けないと言うのが、ボクのシナリオライター生活10年での結論です。そして結局、7月は「プログレの部屋」で書こうと思う内容の骨子がまとまらず・・・こうして8月を迎えてしまったのでした。しかし今ボクは、(早い夏休み期間中に)面白い骨子を思いついていて、だから今月の内容は結構面白いと思ってもらえるモノになるのではないかと思っている訳です。


気になる!プログレマニアの2ヶ月
「毎月・・・人はいったいどんなアルバムを買っているのか?」とか、気になりません?ボクは気になります。もちろん予算によっても異なるでしょうし、狙っているモノや所持しているアルバムによっても変わってくるし、発売されるアルバムのラインナップの影響もあるでしょう。一概には言えないものです。しかし、敢えてボクは「少し資金に余裕のあるプログレマニア」が今年の6月から7月下旬にかけて、どんなものをゲットしたか?というのをテーマにしてみたいと思ったのです。そのプログレマニアとはもちろんボクのことなんですけど・・・。それを記述した時、プログレの部屋に遊びにいらしている皆さんは、どんな風に感じるのかというのも興味深いのですけど・・・。今回の合併号では、そのプログレマニアのおよそ2ヶ月というのをテーマに選んでみようと思うのです。

6月から7月にかけて特筆されるリリースですが、国内新譜ではオランダのカヤックが再編してリリースされた「クローズ・トゥ・ザ・ファイアー」、ハンガリーを代表する名プログレバンド・ソラリスの「バック・トゥ・ザ・ルーツ」、北欧のニューカマーにして一躍トップバンドに躍り出たランブリング・オーケストラの2nd「ザ・キングズ・ニュー・ガーメント」、キング・クリムゾンのアーカイブ・BOXシリーズ第3弾「ザ・コレクターズ・キング・クリムゾンVol.3」等が主なところでしょうか?
カヤックは非常に洗練されたサウンドクリエイトを得意としたバンドです。70年代中期に、とても質の高いプログレッシブなアルバムをリリースしていたバンドなのですが、プログレッシブ・ロックには珍しく非常に洗練された美しいメロディーを持った楽曲作りをしていたことが災いし、当時プログレッシャーから「ポップ」という烙印を押されてしまったらしいのです。かといって一筋縄ではいかないアレンジが特徴であることから、ポップスFANにも受け入れられず、結局ワールドワイドな成功を手中に出来なかった不遇のバンドでもあったのです。しかし今聞いてみると最もプログレッシブと評される初期から、よりポップになった中期、アルバム「マーリン」を筆頭に洗練の度を増した後期・・・と、どの期のカヤックもとても親しみ易く、しかも出来が良い良質なアルバムを作り続けたバンドといえるでしょう。
結局、バンド解散後はリーダーのトン・シューピンゲルはオリジナルメンバー1人になってしまった「キャメル」にキーボーディストとして迎えられ、カヤック時代のような洗練されたキーボード・プレイを聴かしてくれるのですが・・・。そのボクの大好きなカヤックが再編されて新譜を発表したのですから、ボクとしてはとても嬉しい限りです。(もちろん、まだ聴いてませんし・・・聴くのは大分先になるでしょうが・・・。)きっと彼らは基本的なバンド編成ながら、キラキラとしたきらびやかな演奏で、メジャーバンドに匹敵するクオリティのアルバム作りをしてくれているものと思います。
ソラリスは80年代を代表するアルバムに数えられる「火星年代記」をかつて作ったハンガリー随一と言ってもよいプログレバンドの1つです。ハンガリーはそれほどプログレが盛んな国ではないものと思います(日本に伝えられるバンド数が少ないですから)が、70年代末から80年代初頭にかけて活躍したイースト(まだ現役なのかも・・・数年前に結成何周年記念かのライブが出ていたような・・・)を筆頭に総じてクオリティの高いバンドを排出しています。ソラリスというバンドの特徴はアコースティックピアノやキーボード・オーケストレーション(音色にちょっとリック・ウェイクマンの臭い有り・・・冒頭にピコピコ鳴るシンセは少々マイナスかな?)といったキーボードを軸に、ややハードなギター(アコギも使い分けている)、フルー
トの多様等が特徴となっていて、とにかくドラマチックな楽曲が素晴らしい。(ドラム等も目立たないけど堅実でとてもいいプレイをしていると思う。)コンセプトやトータル性はプログレの常套手段とはいいながらも、これだけのストーリー性を感じさせるアルバム構成はなかなかあるものじゃなく、押しと引きのメリハリといい非常にバランスが取れた傑作アルバムだと思うのです。そのソラリスが前出のアルバム前後に収録されたとおぼしきアンリリースド・マテリアル集というべきものが、今回発売されたバック・トゥ・ザ・ルーツだと言えます。絶頂期のソラリスの記録ともいうべきマテリアルだけに、ソラリスFANにとっては聴き逃せないものといえるでしょう。
cランブリング・オーケストラはソラリス同様、ハンガリーのプログレバンドです。昨年衝撃的なデビューを果たした同バンドが、裸の王様を題材に作り上げたのが今作です。同バンドの特色はやはりキーボードで、キース・エマーソン張りのテクニカルでヘビーなキーボードプレイと、リック・ウェイクマン張りの壮大なオーケストレーションが同居した感じ・・・といえば良いのでしょうか?先述の通り、デビュー作の完成度が極めて高かったため、ボクの今作への期待感も非常に高いものとなっています。同傾向のバンドとしてはアフタークライングという・・・やはりボクの大好きな北欧のシンフォバンドがあるのですが、現在進行形のシンフォ系のバンドとしては双璧を張る大注目バンドということが出来ると思います。
そしてクリムゾンのアーカイブ・シリーズ第3弾です。今回もディスク3枚をセットしたボックス仕様になっています。今回の目玉は間違いなく、「アースバウンドU」ともいえそうなディスク3「ライブ・アット・サミット・スタジオ」に尽きます。アナログ盤で発売されたライブ「アースバウンド」と同じ4th「アイランド」期のメンバー達による白熱のライブは、同ライブを聴けばわかる通りオリジナルアルバムを凌駕する圧倒的な迫力!クリムゾンの中期と呼ばれる2ndから4thに至るライブは、それでなくても耳にする機会が少ない訳で・・・、アースバウンドの正規リリースが行われない現在、その希少な歴史の記録がリリースされることは非常に有り難いのです。(Vol.1でも、アイランド期のディスクがリリースされましたけれど、アースバウンドの迫力とは違った静のクリムゾン的表現だったので、今度のディスクにはアースバウンドで演奏されたような暴風のような暴れっぷりを期待したいところ・・・。)他の人はどうだかわかりませんが、ボクにとって興味があるのはディスク3だけなので、ちょっぴり「フリップ翁、いい商売やってやがんなあ」という感じは否めませんけどね。それでも買ってしまうのが、プログレッシャーの性というものでしょうか?

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