〜ブリティッシュロックの巨人達 1〜

その後のイエス
 さて90125以降、イエスの活動状況もチョッピリお伝えしておきましょう。「トーマト」で重要メンバーであったジョン・アンダーソン、リック・ウェイクマンが抜けた後、再起を賭けてリリースした「シネマ」は、実は出来の良いアルバムらしい・・・。前述の通り、ボクはこのアルバムを聴く機会を逸していて「是非聴いてみたい」と最近思ってます。(我ながら、結構いいかげんだなあ・・・。)絶頂期からの大幅なメンバー交代で、クリス・スクワイアとスティーブ・ハウが残るのみとなったため、積極的に聴く気になれなかったのだけど、これ以降デジタル色やメタル色の強くなる最後の姿として気になるところ・・・。
 ここでいったん、イエスは解散状態に。やっぱり大幅なメンバー交代が災いして、セールスが悪い方向に向かってしまったのでしょう。(そういうのも・・・わかるなあ。そんなことでクオリティに不安を持たれるのは辛いのは・・・こういう仕事をやっている我々にはとっても良くわかる。まあ、Mr.イエスとも言えるジョン・アンダーソンが抜けたんだから仕方ないとも言えるけど・・・。) イエスの再始動はクリス、アランと3rdまでのキーボーディストであったトニー・ケイを中心にトレバー・ラビンを加えて始まりました。結局ボーカル担当としてジョン・アンダーソンも復帰し、アルバム製作が行われたのです。それが「90125」で、シングルカット「ロンリー・ハート」がメガ・ヒットに結びついたことで、イエスの再出発はこの上ないほどのスタートを切った訳です。産業と化した音楽業界にあってシングル・ヒットはとても重要なことです。若い世代ではイエス=ロンリーハートという人がいるのにはビックリしますよ。「えっ、ランドアバウト(「こわれもの」収録)や危機じゃないの?」と、叔父さんプログレッシャーは驚かされてしまいます。 大ヒットに気を良くしたイエスのメンバーは、相当の入れ込みで次作の製作に取りかかったはずで・・・、しかし続く「ビッグ・ジェネレーター」は大成功に結びつきませんでした。(まあ、大ヒットを連発することっていうのはとても大変なことで、前作との比較感では「失敗」というイメージを持たざるを得なかったのでしょうが・・・。) これをキッカケにまたまたイエスは分裂! 脱退したジョン・アンダーソンは最盛期のメンバーだったブラッフォード、ウェイクマン、ハウ等と「アンダーソン、ブラッフォード、ウェイクマン&ハウ(=ABW&H)」(まんまやんか!)を結成し、「same(邦題・閃光)」をリリース。このアルバム、当時の評判はどうだったのだろう・・・? ボク自身はこの編成がとてもイエスらしいラインナップであることから、これ以降再びアルバムを揃えているのだが、リアルタイムでサポートしていなかったことからどんな評価なのかは知らない。多分、イエスらしいラインナップであることだけでも好評価を受けているのでは・・・。ボクの印象では、やはり最盛期と比べてしまうせいなのか? 今ひとつ・・・。何だかデジタリーな音がなじまないというか・・・。演奏にしても全盛時にあった「研ぎ澄まされた緊張感」が伝わって来ないのです。贅沢を言えばきりがないのだけど、あの全盛時があるだけに妥協できないのですが・・・。そういうこと抜きに言えば十分聞き応えあるアルバムなのだと思いますけど・・・。一般的には、ジョン・アンダーソンが2nd製作に臨んでいたという事実からして「まあまあのセールスと評価」を受けたアルバムだったものと思います。 この次にリリースされたのが「Union(邦題・結晶)」というアルバムで、何と「ビッグ・ジェネレーター」のイエスとABW&Hが合体した8人組イエスでの収録アルバム。この2グループは「イエス」のバンド名をどちらが継承するか? を裁判で争うほど険悪になっていたそうなんですけど・・・。ともあれ、このアルバムは正に両グループの中間に位置するような感じのアルバムで、「閃光」路線の方が「まだ良かった」ような感じがするのはボクだけでしょうか? とにかくデジタリーなサウンドとメタリック色が、どうも馴染めないのですけどねぇ・・・。それでもやはりイエスらしさをアピールしてくるのは「さすが!」と言っておきましょうか? その後、この路線に洗練度を増しながら「トーク」「キーズ・トゥ・アセッションI・II」「オープン・ユア・アイズ」「ラダー」と発売し続けるイエス。「トーク」はトレバー・ラビンが参加した最後のイエスアルバム。決して悪いと断定できないアルバムながらデジタリーでキャッチーなのが、どうもなあ・・・。プログレ雑誌の評論は「可もなし、不可もなし」という感じで、「キーズ・トゥ・アセッション」では危機の続編が披露されるなんていうアナウンスがあって期待したのですが・・・。「キーズ・トゥ・アセッション」はベストメンバー復活&往年の名曲ライブということもあって、全盛時を支持するファンへのサービスと「この商売上手」という感じで、スタジオによる新曲録音はホンの1〜2曲づつしか収録されていなかった不完全燃焼なアルバムでした。(それでも、楽しめてしまうのが何とも・・・。危機の続編はどうなったんだあ?)再びウェイクマンの抜けた「オープン・ユア・アイズ」では、特にアルバム後半部にアグレッシブだった頃のイエスを彷彿とさせる部分もあって期待させましたが、その割にアルバムカラーを決定するような楽曲に乏しかったような・・・惜しい。「ラダー」に関しては、最初興味を引かなかったのですが、秀五さんより「初回プレス盤を買うと、初回特典でシングルCDがついてくるよ」という情報が入り、結局購入してしまいましたがまだ聴いてません。今のところ「凄くいい」という情報もありませんし、きっと再編以降のデジタリーで、チョットメタリックで、少々キャッチーな近年イエスを踏襲した内容になっているモノと思われます。


イエスがもたらした影響
最後に、イエスというバンドがプログレ界に与えた影響ですけれども・・・。イエスは後期ジェネシスに次いで、フォロワーバンドを排出したプログレバンドということができるでしょう。まず何と言ってもジョン・アンダーソンのファルセット・ボイスとコーラスワークにつきます。ジョン・アンダーソンは元々、声変わりしなかったボーイソプラノ的美声の持ち主で、その歌声はイエスの大きな特徴となっています。 その声のフォロワー的プログレ・ボーカリストは星の数ほどいて、ここでいちいち上げていては「きりがない」ほどの数と意って良いでしょう。別段覚えておくほどのこともないでしょうがフランスの「ガラドリエル」やアメリカの「レルム」等のボーカリゼーションはモロにジョン・アンダーソン。しかし、ジョン・アンダーソンがノーマルボイスのハイトーンなのに比較すると、アンダーソン・フォロワーのボーカルはいかにもファルセットなので、何だか気持ち悪い。ちなみに5UU’sというバンドのボーカリストであるボブ・ドレイクという人の声も「まるでアンダーソン」なのですが、この人は普通声がアンダーソンなので違和感はない。でも音楽がレコメン系・・・これはチェンバーロックという即興性の強い音楽に類するものなので、一般のリスナーには「かなーりキツイ」のでお薦めできません。(間違って買っても責任持てないよ!) 楽曲やサウンドのフォロワーはいないのか? というと、70年代の後半にはアメリカの「CATHEDRAL」というバンドの「Stained Glass Stories」というアルバムが全盛時のイエスを彷彿とさせるバンドとして有名です。(マーキー・ベルアンティークより日本盤発売。)このバンドが優れているのは、イエス的でありながらもバンド独自のオリジナリティが欠落していないところで、ボクの大好きなバンドだしアルバムです。 他にも「STAR CASTLE」というバンドがイエス・フォロワーとして有名です。このバンドの各アルバム、2〜3年前にエピックから再発売されてビックリ。あんなメジャーから、こんなマイナーなバンドのアルバムが国内発売されるなんて、夢にも思いませんでしたからね。このバンドは全盛時のイエスのおいしい部分を丸々コピーしたかのようで、微笑ましいというか?何というか・・・。オリジナリティという点や演奏力では「カテドラル」に及びもつきませんが、それでも2流扱いできないクオリティを誇ります。90125以降のイエスなんかよりは、よっぽどイエスだと思うのでイエスを気に入ったリスナーにはお勧め。ボクも初めて聴いたときは本当にビックリしました。まず1stから順に聴いてみたらどうでしょう?

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