〜ブリティッシュロックの巨人達 1〜

YES
 そんなブリティッシュの巨人シリーズ第1弾に選んだのは「YES」です。一昨年の秋の渋谷公会堂のライブでは、新加入のキーボーディスト以外全盛時のメンバーであるジョン・アンダーソン(Vo)、クリス・スクワイアー(B)、スティーブ・ハウ(G)、アラン・ホワイト(Dr)という布陣で、これまた全盛時のナンバーを惜しげもなく聴かせてくれたイエス。イエスのライブの凄さを目の当たりにし、感動の嵐に包まれたのは今でも忘れられません。
 実はボク、イエスのアルバムを全て聴いているわけではありません。ボクが知る「イエス」とは第2期と言われる時期から、バグルスのトレバー・ラビィン等が加わる以前を言います。確かに90125イエスと言われ大ヒット曲「ロンリーハート」を収録したアルバム「ドラマ」「90125」の頃のイエスは、最も売れた「イエス」と言えるのかも知れませんが、ボクはその頃洋楽に興味がなかったものですから、単に「ジョン・アンダーソンのいないイエス」でしかないですし、ボクのイメージするイエスは「卓越した演奏力を駆使」して、片面一曲のロング・チューンを飽きることなく聴かせてしまうスゴイバンドでなくてはいけないのです。
 またデビュー当時のイエスも実は良く知りません。本来ファンを自認するマニアなら「好きなバンドのアルバムは全部聞いて当然だ」とお叱りを受けてしまうかも知れませんが、70年代リアルタイムで始めて聴いたイエスのアルバム「Close To The Ege(邦題−危機)」は彼らの5thアルバムにして、彼らの最高傑作であると断言できる見事なアルバムだったために機会を逸してしまった感があります。危機のメンバーこそ、イエスのベストメンバーという思いが強すぎて・・・。 当時既にクリムゾンから、フロイドから、ELP、ムーディーブルース等々を聴き終えていたボクは、なぜか(資金の関係とかあったんだろうなあ)イエスを聴いていなかった。「危機」は72年に発売されたのだけど、当時愛読していた音楽雑誌ニューミュージックマガジンで絶賛されていたこともあり、確か予約して買ったんだと思います・・・。秋葉原から何枚かのアルバムを抱えて帰ったボクは、とにかく危機というアルバムにノックアウトという感じでした。その時同時に買ったアルバムの印象がまるでないほど、危機のインパクトが強かったんです。シンフォニックという言葉からのイメージって色々あるんだろうと思いますけど、クラシックに媚びていないという意味で一番ロック的なシンフォニック的表現を追求したバンド、それがイエスだとボクは思うんです。そしてその頂点にあるアルバムこそ、「危機」であるとボクは今でも信じて疑いません。


イエス黄金期
イエスは「Yes」「Time And A Word(時間と言葉)」の1st、2ndが第1期、「The Yes Album(サードアルバム)」「Fragile(こわれもの)」「Close To The Ege(危機)」「Yessongs」までが第2期、「Tales From Topographic Oceans(海洋地形学の物語)」以降「Relayer」「Going For The One(究極)」「Tormato」までを第3期という風にボクは捉えています。メンバーの出入りの多いイエスのこと、実際には「海洋地形学」は第2期じゃないか? という意見もあるだろうし、逆にイエスソングスから第3期じゃないか?と捉えることも出来る訳で、キチンと区別することが出来ないのが現状。ボク的には音楽の傾向で捕らえた時、こんな区分けが正しく思える訳で、まあ第2期を「リレイヤー」までとする意見まである訳で、この区分けはホントに便宜上だと思って下さい。ここで言いたいのはボクが第2期と定義する期間が「イエスの黄金期」であると言われていることです。今聴くと非常に完成度の高い「海洋地形学」も、当時には「危機での緊張感を失ったアルバム」として、イエスの名声を下げることになってしまったのです。 まあそれはそれとして、ボクが今回お薦めするのは上に上げたイエスの第2期及び第3期なのです。「こんなに沢山から選べないよ」と思われる方には、まず「こわれもの」「危機」の2枚を大プッシュ! この2枚にはイエスの代表曲がズラリ、「これさえ聴いておけば」ライブに行ったとしても恥をかくことはないほど、コンサートで定番の名曲が詰まっているのです。イエスそのものであるとも言えるクリス・スクワイアとジョン・アンダーソンの創作能力と表現力が爆発し、バンドとしても一番脂の乗ったアルバム! それが「こわれもの」「危機」の2枚ではなかったかと思えるのです。もちろんイエスの最重要メンバーであるリック・ウェイクマン(Key)、スティーブ・ハウ(G)、ビル・ブラッフォード(Dr)というブリティッシュ・プログレッシブの重鎮達が一堂に会したアルバムも、その2枚しかあり得ない訳で、そこら辺からもこの2枚を聴かずしてイエスを語れないほどの最重要アルバムでもあるわけですが・・・。サードもとても重要なアルバムで、前述2枚に負けず劣らずの代表曲を収録していることでは、決して忘れてはならないアルバムではあります。それなのに何故最重要アルバムに加えないかと言うとリック・ウェイクマン参加前のアルバムだからなのです。前任のトニー・ケイは正直言って「あまり印象に残らない」キーボーディストだったんですね。ちょうどスティーブ・ハウが参加直後のアルバムと言うこともあって、彼のギターの貢献度の高いアルバムだとは思うし、クリス・スクワイアのリッケンバッカーのベースが炸裂していますし、「これでリック・ウェイクマンが参加していたら」と思うと残念でなりません。(リック・ウェイクマンは「危機」以降・・・「リレイヤー」期に一度パトリック・モラーツにその座を譲ったモノの・・・「トーマト」までイエスのキーボーダーとして、イエスのサウンドをリードしてきたイエスの中心的な存在として有名な人。EL&Pのキース・エマーソンと共に、プログレ=キーボードというイメージを作ったプログレ界屈指の名キーボーディストなのです。)「危機」発売以降に今度はビル・ブラッフォードが脱退してしまい、やはり本当の意味でのイエス黄金期は幕を閉じてしまうことになります。

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