その16

●最新作を作り上げた後というのは、基本的に何をしているのですか?

-その間の給料はどうしてる?

 給料は基本的には予算組の中で支払っています。もちろん、毎月売り上げがあるような営業会社とは違いますから、予算として使われるお金はゲームの売り上げによるモノです。つまりゲームの売り上げがマイナスだと、次回作の製作に支障をきたすと言うことです。(みんな、ゲームを買ってね。) ゲームはかつて”出せば売れる”という時代がありました。残念ながらボクが独立して会社を初めてから、そんなおいしい状況でゲーム製作をしたことがありません。というか、楽に儲かるという状況が存在したり求めていたら、今のキャメロットはなかったと思うのです。

 基本的にキャメロットは、1作必中という無謀コンセプトでゲーム製作をしています。つまりヒットしないと会社は厳しいということです。もっと安全な方法ももちろんあります。開発コストを減らして多作化することです。これだと1作当たりのリスクが減ります。しかし1作当たりのゲーム規模やクオリティは確実に落ちます。しかし、その部分のリスクを減らすことが会社を安定させることにはならないと、ボクたちは考えているのです。

 キャメロットは開発会社ですけど、製作委託金によって会社を運営しようというつもりはありません。クリエイティブな想像力や表現力が高い価値を生み出すような企業でありたいと思っています。だから、もしもつまらないと判断されるゲームを製作してしまったらキャメロットは終わります。幸いにも企業としての蓄えもいくらかはありますが、それを使うのは最後の手段です。

 ちなみに「黄金の太陽」は製作コストをかけすぎて実はヤバかったです。何故かというと、GBアドバンスのポテンシャルを引き出すソフトを作るという発想で、しかもコストのかかるRPGというジャンルを選んでしまったからです。一般的にキャメロットは製作効率の高いソフトハウスだと認知されていますから、そのキャメロットがそれだけの製作コストをかけなければならないと言うのは、それだけGBアドバンスのポテンシャルが高いと言うことです。実際次世代のスーパーファミコンというコンセプトでボクたちはアドバンスをとらえていたので、次世代のスーパーファミコンだったら「これぐらい出来ただろ」というソフトを作ることにしてしまったんです。すると製作コストも跳ね上がって、どうしてもミリオン程度は売らないと洒落にもならないコストがかかることはわかってました。だけどミリオンを狙えるビッグタイトルを作らないのなら、RPGを製作する意味もないと思い製作に踏み切ったワケです。

「黄金の太陽」の数々のシーン。
ハードウェアの限界までチャレンジ
した結果が、これらのビジュアルに
結びついたのです。

 


海外版・黄金の太陽こと
「GOLDEN SUN」
海外版・失われし時代の
発売も決定し、
再び海外
で盛り上
りを見せている。
 
 結果は・・・ おかげさまで特に海外が好調。軽くミリオンを越えてます。欧米では「GOLDEN SUN」というタイトルはブランドとして認知されてしまったらしいです。これだけの支持を受けたRPGはボクも記憶にありません。元々はドラクエもFFもなくなった任天堂のファン向けに「本格的なRPGを」ということで製作を開始したタイトルでしたが、まさか海外でこんなにヒットするなんて思いも寄りませんでしたよ。

回答:高橋 宏之