あの日あの時あの一本
第一回 「格言道場」−プログラマー田口泰宏の場合−

 改めましてこんにちは。田口です。知らない方もいらっしゃると思いますので簡単に自己紹介しますね。

田口泰宏(たぐちやすひろ)、本名同じ。福島県出身。東京学芸大学教育学部を卒業後、高橋宏之社長の誘いで設立したての(株)クライマックスに契約プログラマーとして参加。メガドライブのシャイニング&ザ・ダクネスの製作に携わる。翌年のシャイニング・フォース以来、シャイニングシリーズのメインプログラマーを務める。この後(株)ソニック、(株)キャメロットと活動の場を移すが、高橋社長とのコンビは変わらず。縁の下の力持ちとして社長のむちゃくちゃな企画に応え続けている。最近の仕事はシャイニング・フォースIII、マリオゴルフGBなど。キャメロットwebmasterも兼任。

 時の経つのは早いもので、私がこの業界に入ってから10年が過ぎました。会社が2回変わっているという経歴を見ても平穏無事な10年でなかったことは想像に難くないと思いますが、その中でも一番動きが激しかったのはシャイニング・フォースIIを製作していた1992年〜1993年頃ではないかと思います。あー、こらこら、そんな古い写真持ち出すんじゃない!


1992年当時の写真

 そのころ、私と高橋宏之社長は(株)クライマックスから(株)ソニックに移ったわけですが、当時のソニックは、ほぼ同時期に入社した高橋秀五氏と事務の女性一人を含め常駐スタッフわずか4名というスーパー零細企業でした。足りない開発能力は派遣と外注と根性で補いつつ、約一年半の短期間にゲームギア「シャイニング・フォース外伝」二本とメガドライブ「シャイニング・フォースII」を立て続けにリリースするという偉業を成し遂げたわけですが、その一方で、雑誌「BEEPメガドライブ」にて「ソニック通信」というむちゃくちゃなページも担当していました。「ギモンに答えます」コーナーにある秀ファイブの画像を見ても、そのむちゃくちゃ具合がわかりますね。


こんな写真

 その「ソニック通信」略して「ソニ通」ですが、その中でも怪気炎を上げていたコーナーがありました。それが「格言道場」です。正確には「田口・道玄の格言道場」といいます。「道玄」とは何者? というネタだけでもう一回コラム書けちゃうんで、今回は説明しませんが、簡単に言うと、読者から送られてきたゲームに関する格言に対し、私田口と渋谷道玄という謎の人物がが掛け合い漫才風にコメントするという企画です。

 で、その格言というのがとにかく強烈で、ことわざや標語に引っかけて当時のゲーム業界を風刺するというコンセプトのもと、

「雨降って土砂崩れ」
ちょっとしたことから今までの仕事が根本から崩れ去ることのたとえ。
ゲームの企画屋は要注意。

とか、

「急がば回れ しかし まわりこまれてしまった!」
大作ソフトとの競合を避けるためにソフトの発売を延期したが、
仲良く開発が遅れ、結局ぶつかってしまうこと。

といったものが掲載されていきました。メガドライブに限らず粗製濫造の低品質ソフトが氾濫していた世相(?)を反映してか、はたまたユーザーが自分で買ったソフトのできの悪さに腹を立ててか、毛筆手書きのハガキからは「魂の叫び」がひしひしと伝わってきたのを覚えています。(いやあ、8年前の記事なのに今でもインパクトありますなあ…。)

 連載末期にはさすがにクソゲーネタしかもストレートというものがほとんどで、よくあんなものをそのまま載せていたなあとBEメガ編集部の懐の深さに今はただ感服するばかりです。BEメガからセガサターンマガジンに変わるときに連載は終了したと記憶していますが、ネタにされたゲームのメーカーからクレームがあったかどうかは今となっては知る術がありません。誌面一新のためという理由だったことを信じるのみです。

 もっとも、業界の中には「格言道場が好きだった」という奇特な方もいらっしゃって、web上でまたやんないの? と、本気なんだか冗談なんだかよくわからない意見をいただくことがあります。このページをみて面白いと思った方は、無記名でも結構ですのでここにメールを下さい。反響があるようなら本気でコーナー化を考えます。(って、また仕事増やしてどうすんの…。)

 それでは、最後にお気に入りの格言で締めましょう。「そうは問屋が卸さない」に引っかけて…。

daiji
(高橋宏之 書)

 おそまつ。あーっ、ついにゲームについて触れず仕舞いだー。ま、きっと次の人がやってくれるでしょう。そうそう、執筆者は次回執筆者を指名できるってルールにしましょ。可能な限り持ち回りで、月イチ掲載が理想かな。そんじゃ次、秀五さんお願いします。よろしくー。

(2000.5.8)




 …と、書いたら、「もっと普段書かない人に書いてもらった方がいいんじゃないの?」というクレームが入った。うーん、この企画のコンセプトからするとそらそうなんだけど、普段書き慣れてないとなかなか書けないんじゃないのかなあ。というわけで、開始早々いきなり次回未定となってしまいました。早くもコーナー存続の危機か! 待て次号!! っていつできるんだろう…。

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